年々増加する赤ちゃんの「発語能力」のお悩みのワンポイントアドバイス【藤原さんの育児学Vol.31】

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

相談件数も多い「赤ちゃんの言葉の発育」

皆さま2020年の秋をどうお過ごしですか?
さて、前回から言葉について書いている当コラム、今回は言葉の発達の流れからお伝えしたいと思います。

なお、私が書くコラムはすべて当社の統計や私の育児研究データ、体験を元に書いていますので悪しからず。

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赤ちゃんへ言葉を教える時は「言葉」と「動作」をセットに

赤ちゃんが誕生し、最初の声は鳴き声ですが、そこから最初の言葉が出る間では約1年待たなければなりません。

「まんま(ご飯)」や「ぶっぶ(車)」などの意味のある単語は、生後12ヶ月(1才)頃から出てきます。
その後、指差しで意思表示をするなどして物に名前がある事を理解していきます。

《ワンポイントアドバイス》
1才過ぎの赤ちゃんに言葉を教えるには、動作と一緒に組み合わせると覚えやすいです。

手を振りながら「バイバイ」したり、哺乳瓶やマグマグとママが持つコップを当てて「カンパイ!」など、4文字程度の言葉とひとつの動作をセットにすると早く覚えてくれますよ。

ちなみに、弊社のお客様へのアドバイスでは、食事を食べ始めるときには「カンパイ」を教え、食べ終わるときに手を合わせて「ごちそうさま」を教えるように伝えています。
普通、食べ始めは手を合わせて「いただきます」ですが、動作が同じために赤ちゃんが混同しないように分けています。
「ごちそうさま」を教える理由は、1才過ぎの赤ちゃんは食事量が増えるので、満腹のサインを知りたいからです。

前回お伝えしたように、発語があるかは1才半健診で調べられますが、弊社顧客情報で見ても、1割位の子どもは喃語や「あ」「う〜」といった音しか出さない子もいます。

また、あくまで弊社のデータ上ですが、ベビーサインをしている家庭では発語が遅れる傾向があります。
言葉は、「ママやパパに伝えたい」という気持ちが発端なので、言葉以外に伝える方法があると発語が遅れるのかもしれません。

【前回の記事】年々増加する赤ちゃんの「発語能力」のお悩み(赤ちゃんのコミュ力前編)

小さいうちは「高い音」は控えておこう

1才過ぎに単語は出始めますが、言葉の発達はどんどん育つ訳ではありません。
単語を2語3語と繫げるにはさらに1年位時間がかかります。

この言葉を繫げる段階は「言葉の爆発期」と呼ばれ、1才10ヶ月頃〜2才半頃までに多くの子どもが堰を切ったように急速にお喋りが上手になる時期を迎えます。
それまで、「ママ、ママ」だった呼び方も「ママこっち」「パパあっち行って」など、2語3語を使いこなすようになり、それから1ヶ月程度で一気にお喋りするようになります。

逆に言えば、1才10ヶ月頃までの期間は言葉の蓄積期となるので、絵本を読むなどしてママやパパの声を聞かせてあげることが大切です。

《ワンポイントアドバイス》
言葉を覚えるためには、耳の発達が必要なので、月齢が小さいうちは情報量の多い高い音は控えましょう。

赤ちゃんは音が響かない物の方が喜びます。1才半前後では太鼓などの中音程度の打楽器、耳が育ってくる2才頃になってから鉄琴やピアノなどの音域の広がったおもちゃを使わせてあげましょう。

2才前後でお喋りが上手になってくると、イヤイヤ期に入り喜怒哀楽の感情表現を言葉で発するようになります。
しかし、イヤイヤ期初期は、自分の感情を自分でも理解できないので、単語を正しく選べなく、親は子どもが何をどうしたいのか言葉で知ることはできません。

そんな人生最初の言葉使いでの苦労を経験し、2才半頃になれば歌の歌詞を一曲丸々覚えて歌ったり、振り付けして踊ったりできるようになります。
この頃には、起きている時はず〜っと何かを喋っている位にお喋りが上達します。

うるさいくらいに喋るので、「静かにして!」と怒られる事もあると思いますが、この段階で子どもの話をゆっくりと聞いてあげることがコミュニケーション力向上に意味があることが分かってきました。
特に男の子は会話力の基礎が作られる段階なので、2才半頃の男の子を育てておられる家庭は、言葉を繫げて伝えようとする時間を待ってあげてくださいね。

ほとんどの子どもさんが2才半頃までに言葉を発するようになりますが、遺伝的に遅いお子さんも居られます。
3才を過ぎた頃になってからお喋りが始まる子もいるので、周りと比べて言葉が遅いと感じたら、ママやパパの子どもの頃の事を調べてみてください。

一方で、過去のコラムに書いたように、無理に英語教育をしたり、過保護で成長に必要な刺激を与えてなかったりして遅れる場合もあります。
また、発達障害が原因の場合もあるので、2才半の段階で言葉が出ないようなら医師の診断を受けましょう。

悩んだら相談することが大切です。抱えず、吐き出しましょう

3才頃には、思い出話や自分で想像した作り話を話す事も始まります。
この頃の女の子は、パパとママで態度を変えるなど表現力が育ってきて、パパに甘えたりママと口喧嘩したりと会話が成り立つようになってきます。

その後、ひらがなや数字を読むようになり、4才頃には文字を書くことが始まる子どももいます。
5才頃には、友達同士で約束をしたり、内緒話をしたりと、会話で人を動かしたり会話で学習する力が育ってきます。
6才頃には敬語を覚えたり、相手を説得する様な高度な会話も出来るようになります。

昔、当時小学校1年生の息子を連れて北欧イベントに出店した事があるのですが、子ども店長としてたくさんの商品を売ってくれました。
デンマークでは、小学校からディベート(討論)教育が取り入れられ、自分の考えをまとめて伝える術を学んでいきます。

ヨーロッパの他の国の人から見ると、どこでも討論を始めるので「ひと言多いデンマーク人」と揶揄されることもあると聞きますが、相手の意見を理解する事、自分の考えを正しく伝える事が、より良い考えを生む源だと捉えているようです。

その背景には、小国で人口減少や隣国からの侵略の危機があるのかもしれません。
また、一説にはお喋りな人の方が所得が高いというデータが示されたからだという説もあります。

確かに日本でも、お金を稼ぐ人はお喋りな人が多いような気がしますよね。
日本では「気づき」とか「悟る」など、表情や動作から気持ちを読む事が美とされてきましたが、分かったつもりで思い込んだり、決めつけてしまい失敗する事も多いのではないでしょうか?

前回、そして今回と2回に分けて言葉について考察してきましたが、悩んだ時には相談したり、話したりする事が一番効果的です。
家族との会話が楽しい時間となるように、会話力を鍛えましょう。

恥ずかしがらずに、子どもにはちゃんと「大好きだよ!」と言葉で伝えてあげてくださいね!

※掲載の情報は、記事公開時点の内容です。
状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、最新の情報は店舗・施設のHPやSNSを確認するか、直接お問い合わせください。

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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