[イヤイヤ期大解剖その1]赤ちゃんへの対応は言葉ではなく行動で示そう【藤原さんの育児学Vol.46】
質問が多い「イヤイヤ期・反抗期」に関する連載コラムvol.1
先日、妻から「ラズダでパパのコラム記事が週間ランキング入りしているよ。」と伝えられました。するとトップ5に2本も過去の記事がランクイン。みなさん、いつもご覧いただきありがとうございます。
(私の乱暴な記事を編集いただいている、編集部いしやんのおかげですね、ありがとう!)
うれしい反面、今まで気軽に書いていた当コラムを、実際に読まれていることが分かり緊張というか責任も感じます。何を書こうか……、今回はいつも以上に悩み、多くのママから聞かれることの多い、イヤイヤ期についてお伝えしようと思います。
実は「イヤイヤ期」が私の得意分野。講演でも店頭でも何百回とお話しているのですが、企業秘密な部分や弊社のお客様は有料で情報を取っておられるので、書くことを遠慮していました。
また、一番心配な事は、当記事を読み、コピペやマネして悪用されると、子どもが被害者となりかねない事。ネットは無法地帯になってきていますからね。
ただ、コロナ禍生活が長くなり、今春は育児で悩んでおられる方からの相談がドッと増えました。私のコラムが上位に上がること自体、育児で悩んでおられる方が多い現れなのかもしれないと思い、育児の最難関期間「反抗期」について詳しく、複数回に渡って書くことにします。
イヤイヤ期はいつ、なぜやってくる?
一般に「イヤイヤ期」と呼ばれるのは、「魔の2才児」とも言われる2才代の事ですが、1才過ぎの段階で自己表現が始まると、イヤイヤの行動が出てくるので、これもイヤイヤ期と呼ぶ方がおられます。
これから書くのは、自立心からイヤイヤ行動が出る「第一反抗期」に関して。月齢で言えば、2才前後から3才半前までの期間に当たります。
女の子では、少し早く始まる子もいて、1才半頃から反抗期のイヤイヤが始まる場合もあります。
イヤイヤ期は突然やってきて、「昨日まで素直に言うことを聞いていたのに、この数日機嫌が悪いなぁ」という感じで始まります。
徐々にイヤイヤが高まっていくのであれば、ママもパパも対応できると思いますが、イヤイヤ期は急にピークがくるので初期が一番大変。何を聞いても「イヤ!」と言い泣きわめく我が子、抱っこも嫌!ジュースも嫌!おもちゃも嫌!ママやパパも焦りと困惑でいっぱいになります。
では、なぜこんな状態になるのでしょうか?
始めに「自立心からイヤイヤ行動がでる第一反抗期」と書きましたが、このイヤイヤは、自立心の「自分でやりたい」気持ちが育ってくることが理由です。
自分でやりたいけど、自分ではできない。自分でやりたい気持ちもあるけど、ママにやって欲しい気持ちもある。こんな状態で、自分自身でもどうしたいのか分からないワケです。
なので、赤ちゃんへ向かって「何して欲しいの?」、「お茶が飲みたいの?」、「抱っこする?」などと聞いても「イヤ!」となってしまいます。非常に大変ですが、このようなイヤイヤを繰り返しながら葛藤する事で、子どもの「考える行動」に繋がっていきます。
「反抗期がない」は先回りをした結果。ですがあまりオススメしません……
時々、「うちの子は反抗期が無かった」という方もおられますが、赤ちゃんが考える前に何でも先回りして与えると強い反抗は出にくくなります。でも、「考える行動」が少ないため私はオススメしません。
また、初期のイヤイヤへの対応は、言葉で聞いても意味がありません。平均的に2才のお誕生日を迎える頃の子どもは、1語から3語程度の単語を繫げる程度です。それは、ママの言葉も2~3語までしか覚えられないという事でもあります。
仮に私たち大人が外国へ行ったとします。「Fish or beef?」などと聞かれれば答えられますが、長い文章で話されるとパニックになって全然理解できませんよね。
同じように、イヤイヤで泣いている状況の中、いろいろ言っても落ち着くワケがないのです。
イヤイヤ期=考える行動が始まったら言葉ではなく「行動」で応えてあげましょう
では、どうするのか?
考える行動が始まったら、少しだけ行動で示してあげましょう。
例えば、私の息子がイヤイヤ初期の頃、夜にオレンジジュースを飲みたいとアピールしてきました。その時の私の対応は、コップの底に1cmにも満たないちょっとだけ入れて飲ませてあげます。
「ダメ」と言い聞かせようとせず、また普段通りコップいっぱいに入れるワケでもなく、ちょっとだけ応えてあげるのです。
また、別のお母さんから、「夜中に散歩に行きたいと言い出して困っています。」という相談がありました。よく聞く話で、やさしいお母さんは30分くらい家の近所を散歩してあげたり、1時間位寝るまでドライブに連れて行ってあげたという話も聞きます。
みなさんの中にも経験がある方、少なくないのではないでしょうか?
もちろん、これらは素晴らしいことですが、初期のイヤイヤは自分の気持ちを長時間覚えていません。
ですから、この場合の私のアドバイスは、お子さんと一緒に玄関ドアを開け数歩出て戻ってください、というもの。初期は少しだけ行動で示してあげる事で子どもは納得してくれるんですね。
30分散歩に付き合ったと言われたお母さんに、「家に帰ったらまた散歩に行きたいと言いませんでしたか?」と聞くと、たいてい「言われてまた出かけました!」と。さっき散歩に行きたいと言った事を忘れ、新たな要求が生まれているんですね。
イヤイヤ期中期、後期になってくると、こういった行動も必要ですが、初期はちょっとだけ行動で示してあげれば充分だと私は思います。
イヤイヤ期のしつけはどうする?
また、イヤイヤ期初期の1才10ヶ月から2才1ヶ月頃のお母さん方から寄せられる相談には、「保育園で友達を噛んだりするので家でしつけをしてくださいと言われた。」、「机の上を歩くなど危ない事をするので叱ってしつけをしていますが、効果がありません…。」というようなものがあります。
私の回答は「今はしつけを理解できないので、叱る意味がまったくありません。しつけはもう数ヶ月待ちましょう。」です。イヤイヤ行動の対応に困り、親に余裕がなくなると、どうしても大きな声で叱ったり放置したりしてしまいがちですが、これはNG。
第一反抗期は心が育つ時期。「叱らない」も大切なポイント
第一反抗期は、反抗の陰にいろいろな成長がギュッと詰まっています。そのひとつが「自立心」ですが、ほかにも「感情の芽生え」があります。
第一反抗期に入る前までは、良いか悪いか程度の反応しかしていなかった赤ちゃんですが、第一反抗期に入ると喜怒哀楽が繊細に育ってきます。
叱る、怒るという恐怖を与えて子どもに理解させるには、そもそもその感情が育っていなければ意味がありません。イヤイヤ期初期までの子どもを叱った時に大泣きしているのは、「怖い」というよりも「命の危機を感じている」からだと私は捉えています。
ママやパパに嫌われたら生きていけないという本能的なSOSなので、極端に言えば2才まではまったく叱らないで欲しいというのが私の願いです。
イヤイヤ期の初期の後には「恥じらい」や「恐怖」といった行動も。遊び方・おもちゃも変化!
その後、2才2ヶ月頃になるとすべてがイヤイヤの初期を脱し、次のステップに移ってきます。
今まで平気で登って遊んでいた滑り台をひとりで登れなくなったり、テーブルの下や隣の部屋に隠れてオムツにウンチをしていたりといった、恐怖や恥じらいと見られる行動が出てくる特徴があります。
この頃には、イヤイヤ言いながらも、少し自分で考えて選択した答えを導く事が始まります。
例えば、自分で靴を履きたいと行動するが、できなくて泣き、ママ・パパに履かせてと言ってくるなど、少しずつ意思の疎通ができるようになってきます。
おもちゃの遊び方も、この頃には変わってきます。
例えば、ままごと遊びでは、それまでママと私というような1対1での遊びであったのが、ママと私とパパなど人数を増やしたり、お人形さんとぬいぐるみに役割を与えて遊んだりと社会性が生まれてきます。
北欧や昔の日本が2才までは家庭保育を大切にしているのは、この社会性が2才から出てくることがあります。
また、パズルでは、それまで○や△などの形合わせパズルで遊んでいた段階から、6ピースや10ピースなど組み合わせてひとつの絵が完成するようなパズル遊びが始まります。
複数の人数や、複数のピースでひとつを完成させる事は、数の概念の理解がこの頃から始まることも推測できますよね。
ほかにも、2才頃には、太鼓など音情報の少なかった楽器遊びが、鉄琴やピアノなど音域の広い音情報の多い音を使ったあそびも楽しめるようにも。
「言葉の爆発期」と呼ばれるように、急に言葉を話すようになるためには、耳で聞いて音を取る必要があるワケですから、お喋りが上手になるのは耳も育ってきた事が分かります。
イヤイヤ期初期に育児と仕事を両立するのは困難…。だからこそ事前に理解しておくことで向き合い方も変わるハズ
さあ、今回は長くなりましたが、イヤイヤ期初期をまとめてみました。この後に続く中期〜後期も波のように次々と変化が出てきます。上手くこの波を乗りこなすと、バランス良くグングン子ども達は成長していくのでおもしろいですよ。
ただ、本当にこの期間の育児は大変だとも思います。
私は経営者の立場ですので、税理士さんやスタッフにも育児宣言して、仕事も減らし、店の売り上げも減らしして実験的に育児に取り組みました。しかしそれは、とても希な環境だったと思います。
ショーウインドーは隠し、外から店内が見えなくしたり、赤ちゃんをおんぶしながら接客したりと、お客様にはご迷惑もお掛けしていたと思います。
育児と仕事の両立は、簡単な事ではありませんが、頑張っておられるみなさんのご参考になればうれしく思います。
※掲載の情報は、記事公開時点の内容です。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
【レインディア藤原さんの過去記事一覧はこちら】
コーセリプロジェクトHP