2歳半からのイヤイヤ中期は行動の大変革期!唐突な赤ちゃん返りの対処方法も紹介【藤原さんの育児学Vol.48】
「イヤイヤ期」大解剖コラムの第3回。今回は“中期”の続編「子どもの行動の大変革期」について
みなさんこんにちは。先日、芸能人の適応障害のニュースが流れました。
ネットニュースの記事を見ると、5月病・6月病も適応障害の一種と解説がされています。5月病は昔から聞きますが、6月病もあるんですね。
コロナ禍もあり、最近、様々な相談や問題の報告を受けます。
保育士さんからは「1週間に一度も家でお風呂に入れてもらっていない子が最近増えた」とか、また別の保育園園長さんからは「子どもたちのケガが増えた」との心配な声を聞きます。
お風呂に関しては、以前から1人2人はいたようですが、新型コロナで祖父母などに育児を手伝ってもらえないためか、近年5人も10人もと、急激に増えたというのです。
子どものケガは、園長先生の話によると、コロナで給食も黙食になり、人とじゃれ合うことも制限されるために、芝の上を走っていて転んだなど、以前はかすり傷で済んだものが身体がうまく反応せず、大きなケガに繋がっているようだとの事。
子どもたちと至近距離での支援が必要な保育士さんや、幼稚園教諭のみなさんは、新型コロナワクチンの優先接種対象ではありません。
冒頭、今回のコラムのテーマとずれたお話をさせていただきましたが、このような声をみなさんにお伝えするのも責務と考え、少し書かせてもらいました。
では、イヤイヤ期連続コラム中期の後編スタートです。
2才半頃からは行動がダイナミック&繊細に。お兄さん・お姉さんらしくなってくる
「イヤイヤ期中期」にあたる2才半頃になると、三半規管や体全体をコントロールする力が育ちます。行動がダイナミックになり、お家の中でもソファやベッドで飛び跳ねたり、階段をジャンプしたりする行動が出てくるでしょう。
これは、体を育てるために必要な行動なので、トランポリンや三輪車など、少し難易度が高まる遊びを取り入れていきましょう。
一方で、微妙な力加減ができるようになってきます。
指先の感覚が繊細に育つので、レゴブロックなど細かな作業を楽しんだり、指先の感覚で積み木の形を当てるゲームなども楽しめるようになると思います。小さなパズルピースを組む事もできるようになり、2才半頃には100ピース以上のパズルを完成させるようなお子さんもおられます。
この頃には、数の概念も育ってきているので、階段を数えながら上り下りしたり、10数えてお風呂を上がるなど、数の増減を体感的にふれ合う事を始めていくといいでしょう。
音を捉え意味を理解し、体のコントロール力も育ってくると、歌の歌詞を一曲丸々覚えたり、振り付けも同時に覚えて披露したりといった事も始まります。パジャマを自分で着ようとしたり、靴を自分ではこうとしたりと、一歩お兄ちゃんお姉ちゃんに近づいてくるのもこの頃。
その後2才9ヶ月頃には、記憶力が育ってくるので、比例して集中力も育ち、絵本を最後まで聞いていられるようになったり、短時間でもひとり遊びが始まるかもしれません。
イヤイヤ期初期から見れば、かなり聞き分けが良くなり、できる事が増え、お手伝いも始まります。育児も少し余裕ができてきたかなぁと、感じられるかもしれませんね。
しっかりしてくるイヤイヤ期中期。そこへ訪れる唐突な「赤ちゃん返り」の対処方法とは?
ですが、そんな「しっかりしてきたな〜」と感じていた頃に突然やってくるのが「赤ちゃん返り」です。
この段階の赤ちゃん返りは、下に妹や弟がいる・いないとは関係なく、記憶周期が伸びることが理由と考えられています。記憶力が育つと、数ヶ月前の事も思い出せるようになるんですね。
それがどんどん育つと、自分が赤ちゃんであった頃の記憶も思い出せるようになり、急に赤ちゃんの時のおもちゃや絵本を出すと喜ぶことも。ただ、時系列に記憶を整理できているワケではありません。昨日の記憶と1才の頃の記憶が混ざっているようなイメージでしょうか。
特徴的な行動としては、急に服も靴も自分では着なくなって「ママ着せて〜」と甘えてきたり、幼稚園や保育園に行きたくないと言ってみたり。抱っこやおっぱいを求める場合もあり、自分でできる事を知っているママ・パパは、「もうお姉ちゃんなんだからちゃんとしなさい!」などと、言ってしまっているのではないでしょうか。
しかし、私はこの赤ちゃん返り期の対応としては、しっかりと「赤ちゃん扱い」してあげる事を推奨しています。それは、この頃の対応次第で「指しゃぶり」が再発&長引いたり、トイレトレーニングが進まなくなったりといった、ストレスを表す行動が出てくるからです。
良いストレスは成長を促しますが、悪いストレスは悪循環になります。親の方が心を切り替えてお子さんのワガママを受け入れるようにしてあげましょう。
我が家でも、上の子の時には近所の散歩も「歩かない」と言うので抱っこで周ったり、下の子は急に「幼稚園行きたくない。服着ない」と朝から騒ぐので1週間ほど幼稚園をお休みして、私も仕事を休んだ事があります。
受け入れてあげると、赤ちゃん返りは1〜2週間程度で過ぎていきますが、ここで子どものアピールを抑えつけようとすると、何ヶ月も赤ちゃんぽい行動が続くお子さんも見られるので注意が必要です。
「赤ちゃん返り」を乗り越えると、遊びに計画性が生まれてきます
赤ちゃん返り期を越えると、また急激にしっかりとしてきます。
公園や保育園・幼稚園などにある滑り台の順番を譲ったり、おもちゃを「貸して」と借りたり貸したりの行動がスタート。また、赤ちゃん期の記憶が交錯していた段階を過ぎ、いよいよ時系列に物事を捉える遊びも始まってきます。
例えば、ままごと遊びでも、お店屋さんごっこで食材を買い、お家に帰って調理し、テーブルに並べて皆で食べるといった、一連の流れの遊びが始まります。男の子なら、レールを走ってた電車が脱線し、助けにくるクレーン車や車両を運ぶトラックが登場、工場に列車を運んで修理するといった具合。
最初にこうして、次にこうなって、その後にこうなる、という遊びは、計画性や想像力を鍛える大切な遊び。
この遊びに慣れてくると、工作に熱中して物作りをしたり、ママを喜ばせようと道ばたの花を摘んだり。AI搭載のロボットでもマネできない行動が始まります。
絵本のストーリーも、前のページの内容を覚えていて、次のページの流れを想像しながら楽しめるようになるのもこの頃。
絵本に描かれている顔の表情を理解したり、ストーリーの展開を予測して怖がったりと、絵本を絵本として楽しめる段階に入るので、この頃からはたくさんの絵本にふれさせてあげましょう。
こうして、しっかりしたり甘えたり、ダイナミックな動きになった、と思ったら静かに遊んだり。波のように次々と変化のあるイヤイヤ期中期が終わっていきます。3才を迎えて、そろそろ第一反抗期も終わりかなと思いたいところですが、もうひと山最後の成長の山が出てくるのですが、それは次回のお話に。
【関連コラム】[赤ちゃんの絵本読み聞かせ後編]1才~小学校までの読み方のコツ・本の選び方【藤原さんの育児学Vol.35】
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
私の息子はもうすぐ12才になるので、彼のイヤイヤ期は10年近く前の事になります。大変だったイヤイヤ期、次から次へと行動が発展し、育児にヘトヘトになりながら日々が流れていっていましたが、今思えば大冒険だったな~と。
映画の主人公は、ハラハラドキドキ、一瞬足りとも心休む時がないままクライマックスへ向かいますが、まさにイヤイヤ期の育児はこんな感じです。
イヤイヤ期真っ只中のお母さん・お父さん、いろいろな事があり悩むことも多いと思いますが、映画が終わってしまうようにイヤイヤ期も必ず終わりがあります。過ぎたら楽しい思い出、武勇伝、映画の主役はみなさんですよ!
※掲載の情報は、記事公開時点の内容です。
状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、最新の情報は店舗・施設のHPやSNSを確認するか、直接お問い合わせください。
この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
【レインディア藤原さんの過去記事一覧はこちら】
コーセリプロジェクトHP