ママを孤立させない言葉と行動が大切!産後うつを考える後編【藤原さんの育児学Vol.63】
どうして産後うつに?原因とその対策とは?「産後うつ」コラム【後編】
前編に続き、「産後うつ」後編のスタートです。
よく世間のお父さん方から、「出産で妻が変わった」と聞きますし、私も妻はうつ状態まではなりませんでしたが、産後の変化には驚かされました。
しかし、出産後数ヶ月し、女性ホルモンが落ち着いてくると、妻本人も「私、変な事言っていたよね?」と、我に返ったように聞いてくるので、二度驚かされます。
夫→妻には未来の話をしましょう/妻→夫へは日々のインプットを
産後クライシスでは、母親が凶暴化するとも言われますが、生まれたばかりの赤ちゃんは、やさしさばかりでは守れないことは分かりますよね。
ここで、夫婦が意見の対立をしてしまうと後の離婚に繋がりますし、仕事が終わっても夫が家に帰りたくなくなる状況になってしまいます。
夫は、妻がイライラして理不尽と感じる文句を言ったとしても、それはホルモンバランスの変化による一時的な事と理解して、妻の意見を尊重することが大切。将来の話や、できれば3ヶ月後、半年後などに旅行の計画を入れて目標を入れるのもオススメです。
弊社のおもちゃレンタルサービスでは、生後6ヶ月からしかスタートできませんし、交換周期は3ヶ月としています。これも、少し先の予定を入れる事で、育児の不安を和らげる目的から設定してあります。
毎月の予定になると、負担になり疲れますし、成長や日常との変化が感じられなくなりますからね。3ヶ月あれば、子どもも成長しますし、丁度いい期間だと思います。
出産後、うつとは無縁の育児を楽しめているお母さんでも、夫の育児参加は必要でしょう。
妻へのアドバイスとしては、夫とは「過去や分析が好きな生きもの」と認識し、面倒でも一日の出来事を夫にインプットしていくことが大切。夫が仕事で疲れていて、話しても返答がないからと落胆せず、「今日はこんな事があった」と、子どもや自分の事を一方的でもいいので伝えていきましょう。
すると、それらのデータが溜まって、ある時から夫は「あれ?子どもの事を私は知っている。確か○○が好きで、○○に行きたいと言っていた」などと、過去を分析できるようになります。
そして初めて、夫は自発的に育児に参加するようになるので、夫を育てるためには、毎日ひと言でも良いので情報を与える事なんですね。
「産後うつ」とは孤独な戦いによるもの?大切なのは「孤立させない」こと
このアドバイス、実は妊娠出産とは関係無く、新婚夫婦にも言える事。
結婚式の場では、会場に列席した親族や友人たちの誰よりも、夫婦はお互いの事を知っているはず。
しかし、5年後10年後となると、夫の事を知るのは職場の同僚や飲み屋のママだったり、妻のことを知るのはママ友や実母だったりと、夫婦の情報のアップデートがされなくなってしまい、それが家庭を崩壊させる原因になっているのではないでしょうか。
人生で結婚しようと思える相手との出会いは何回もあるわけではありません。一時の感情でその関係を壊してしまわないようにしてください。
産後うつも、前回の記事冒頭に書いた“中年の危機”も、当人は自分の変化に気付けないことがほとんどです。
周りに指摘されても、じゃあどうすれば良いの?という話。妻の孤独な戦い、産後うつはそんな状態かもしれません。
そういった人へ周りができるのは、孤独にさせないこと。
「好きなようにすれば」、「病院に行ったら」というのは少し突き放す言葉になってしまいます。言葉がダメなら行動で、時間で、ともに辛さを分かち合う気持ちで向き合ってみましょう。
産後1ヶ月の混乱、3ヶ月の母親としての自立、6ヶ月もすれば育児に慣れてきます。
この頃には、赤ちゃんにも記憶力が育ってきて、持って生まれた生存プログラムを忘れ、直近の記憶を元に行動が始まってきます。母親と赤ちゃんのそういった変化を念頭に、周りの人々は対応を合わせていかなければいけないでしょう。
育児先進国・フィンランドで盛んに語られるようになってきた「幼児うつ」
また、私が参考にしているフィンランドの育児情報サイトでは、数年前から「幼児うつ」の問題と対策が語られるようになってきました。日本では、まだ耳慣れない言葉ですが、幼児にも大人と似たうつ症状のような行動があるとのデータが発表されています。
まだ2才や3才の子どもが「うつ」なんて想像できますか?
実は、私の店でもそういったお子さんを見かけることがあります。
笑わない、自発的に行動しない、おもちゃに興味を示さないなど。発達障害と診断されている場合もありますが、少し時間をかけて対応すると笑ったり、遊んだりといった行動が出てくるお子さんもおられます。
フィンランドの幼児うつ対策では、問題は子どもではなく、家庭や親にあるという視点で語られます。うつ症状のある子どもが確認された場合は、積極的に行政が家庭へ乗り込んでいくようです。
日本では、中々家庭の問題に入り込めませんし、DVなどの危害の防止は叫ばれても、心の健全な成長を阻害している状況の改善手立てはまだないと言ってもいいでしょう。
ネグレクトなどの問題も同じですね。
そして、ココで注目したいのは、母親や家庭から守るために子どもを避難させるのではなく、親や家庭に対して指導や教育をしていく点。
いくら教育を勉強していても、実際の育児はいろいろな事が起こり、悩む事の連続で、どこからどうすればいいか分からなくなっている場合がありますよね。
悩んだり育児のやる気をなくしているのは、子どものためを思い真剣に考えているからこそ、自分の無力感にやられてしまっているとも考えられます。そういった家庭には、基礎から順序立てて育児の“いろは”と、現在の位置を再度伝える事で早急な改善が見込めるワケです。
みなさんも、辛い時は我慢しないで、家族なり友達なりに相談して欲しいと思います。
それがダメなら、行政や医療機関を頼ってください。
それでも難しい、育児が辛いと感じたら、相談料など一切いただいておりませんので、当店までいつでも気軽にご相談ください。
一緒に人生を楽しみましょう。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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