パズルで子どもの発達を手助け。年齢別の選び方のコツ・おすすめを紹介【藤原さんの育児学Vol.66】
繰り返し遊べるパズルは子どもの発達過程にいい影響も多い!
みなさん、こんにちは。新年度が始まり、いかがお過ごしですか?
以前からお伝えしているように、今、とりだい病院内の『カニジルブックストア』に当店のオススメコーナーが設置してあります。そこで展開しているのが、ドイツの玩具メーカー・ラベンスバーガー社のパズルやボードゲーム。
2月に並べたら、1ヶ月で初回分がすべて売り切れてしまう人気ぶりで、私自身も驚いています。そのため、4月からは当店でもパズルコーナーを拡充し、今後も増やしていく事になりました。
メーカーも、新年度から続々と新製品を投入する予定との事で、これからパズルは改めて話題になりそうです。3Dパズルやアートコレクション、謎解きができるパズルなど、大人も子どもも楽しめるパズルが展開されるので、みなさん要チェック!
ということで、今回のコラムは「パズルと子どもの発達」について書いていこうと思います。
【~1才のパズル選び】最初は3種類程度の形合わせパズルから
みなさんはパズル、好きですか?
私は、若い時にハマった時期があり、実家に帰ると1000ピースとか2000ピースとかの、ノリで固めたパズルが複数飾ってあります。作った時の苦労を思い出すので、中々処分出来ないのが問題ですが、子どもたちに見せて自慢することも(笑)。
パズルに集中していると、日常のことを忘れて没頭できるのも魅力。
そんなパズルですが、赤ちゃんの発達過程においても重要な役割を果たします。どんなパズルで遊べるかで、今の発達レベルが見て取れるワケです。
今回のコラムを参考にしていただければ、子どもたちが喜ぶパズルを選ぶ事ができると思いますよ。
人生最初のパズルは、1才頃に出合う「形合わせパズル」で、基本的には○△□の3種類くらいのモノがオススメ。
1才のお誕生日前後だと、3つの穴の中で○だけ入れられるといった段階です。
その後1才2ヶ月頃になってくると、□や△が時々入れられるようになり、1才3ヶ月頃になるとハート型や長方形などを理解し始めるようになります。
最初の段階では、たくさんの穴を比べられないので、穴の数が1〜3個程度のモノが良いと思います。それらの穴が平面に並んでいることも大事。
当店のおもちゃレンタルでは、入れた積み木が下から出てきて、繰り返し遊べるタイプが人気です。
1才5ヶ月頃に入ると、「絵合わせのパズル」に興味を持つようになります。
動物や乗り物の絵が、絵の形状に合わせてくりぬかれ、ペグ(持ち手)が付いていて回転させて形に合わせてはめるパズル。1才5ヶ月の段階では、絵に輪郭がしっかりと描いてある絵の方が良いでしょう。
1才半以降になれば、水彩画のような絵や、輪郭なしの絵でも理解できるようになります。
1才10ヶ月頃になれば、台紙の方にはシルエットのみで、絵が描いていなくても合わせられるようになっていきます。形状の理解が進み、○△□に加え、五角形や星形、ひし形など、様々な違いを区別し、多面体BOXでも合う穴を探せるようになるでしょう。
これらのパズル遊びによって、形状理解、目と手の協調、達成感、繰り返し、形状記憶といった能力が育っていきます。
【2才以降のパズル選び】子どもの性別で興味を持つモノも変化
2才を過ぎる頃になって、ようやく「ピース合わせのパズル」の理解が始まります。ひとつの絵を複数のピースで完成させる事が始まります。
最初は、数ピースから始め、2才3ヶ月頃には6ピースや9ピースくらいまで完成させられるようになります。
特に女の子で、平面パズルにハマる子が多く現れるのがこの月齢。過去には2才半で100ピースのパズルを完成させるようなお子さんも。
早い方が良いワケではありませんが、子どもたちは楽しいとグングン能力が伸びていくので、弊社おもちゃレンタルでも個人差をしっかり見極める必要がある月例でもあります。
同時期の男の子では、「立体パズル」への興味が出てくるようで、レールを組んで遊んだり、棟を作って遊んだりします。
2才後半に入ってくると、目的の遊びが“できて終わり”ではなく、個人個人で様々な遊びへの応用がスタート。
例えば、パズルのピースをままごと遊びに使ったり、平面パズルを立体的に組み立てたり。ひとつのピースを首飾りにするなど、大人も考えつかないような遊びができるようになってきます。
この発達を知らないと、「パズルを子どもに与えてもできない」とか「遊ばない、パズルに興味を持たない」という判断になってしまいます。
目的以外の遊びを発見する力こそ、子どもの最大の能力だと私は考えるので、子どもがどう工夫しているのかをちゃんと見て欲しいといつも伝えています。
そして、3才を迎える頃には、神経衰弱のような絵合わせ遊びができるほどに、記憶力や絵や形状の理解が進みます。
弊社レンタルのラインナップでは、2層にパズルがなっていたり、裏表両面で違う絵が描いてあるパズルも出てきます。
テトリスブロックのような複雑な立体パズルも、3才以降の対象年齢で用意されています。
小さな時からパズルで遊んでいる子どもたちは、その後もパズルを攻略したい欲求が生まれるらしく、どんどん難しいモノに挑戦していく傾向があります。
パズル遊びは文字の理解など、後々の発達にいい影響も多い
また、パズルは形状や絵の細かな違いを見分ける事から、文字の理解に繋がりますし、所見ですが絵を覚えて次のピースを探すことから記憶力の構築にも役立っているように感じます。
1つ、2つと数える、あと何個などと数える事は、数の概念の理解にも繋がりますね。
パズルは、完成しても解体して何度も繰り返し遊べるので、達成感を再現したり、スピードがどんどん速くなって自信を付けることも。
絵の細部を見て、そして全体像を見ることによって、より詳しく絵を理解することにもなります。スマホやTVと比べ、ピースを探すために視点の移動が多いのも良い点かもしれません。
とはいえ、時々遠くを見るなどして、目を休める事も意識して楽しんでいただければと思います。
大人になると中々、パズルで遊ぶような余裕はなくなってきますが、宿題の少ない春休みや、ゴールデンウイークにはぜひ親子で一緒にパズルに挑戦してみてください。
子どもの成長を理解できる素晴らしいツールだと思いますよ。
どんなパズルを買っていいか悩んだら、お気軽に当店へお越しください。他店の品であっても解説いたしますよ~。
【合わせて読みたい】赤ちゃん・子どもの成長と笑顔には関係性がある!今こそ考えたい「笑う」の重要性
ちょっとご案内
この度、桜美林大学出版会(発売:論創社)より「子どもを育む木製玩具のデザイン論」という本が発売になりました。
著者は、以前も当コラムで論文を紹介させていただいた林秀紀先生で、当店や当店のおもちゃレンタルサービス「もくレン」の事がしっかりと研究・紹介されています。
お値段は2200円と、専門書で少し難しい箇所もありますが、木製玩具を現代の視点で解説した一冊です。
※掲載の情報は、記事公開時点の内容です。
状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、最新の情報は店舗・施設のHPやSNSを確認するか、直接お問い合わせください。
この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
【レインディア藤原さんの過去記事一覧はこちら】
コーセリプロジェクトHP