【月齢別】子どもはなぜ人を叩く?理由・対処を知れば親子関係もグッと良くなる!
【藤原さんの育児学Vol.69】子どもが「叩く」原因とは?年齢別で解説
さて今回のコラムは、最近、立て続けに寄せられた相談があるので、それについてお答えしたいと思います。
それは、「子どもが人を叩いて困る」というもの。
暴力反対などの対処ではなく、根本的に「なぜ叩く行動をとるのか」について解説していきますね。
1才過ぎから始まる叩く行動。実は赤ちゃんは”自分の手”を認識できていない!?
みなさんも一度は、子どもから叩かれた経験があるのではないでしょうか。その時に、どう対処されましたか?まさか、叩き返してませんよね?
子どもが人を叩く行動は、1才過ぎからスタート。
この頃には「イヤ」、「ダメ」のような意思表示が始まり、それが行動となって現れたひとつが「叩く」動作です。同時に、モノを落としたり、投げたりといった行動、唾をブ〜っと飛ばしたりする行動を示す事もあるでしょう。
親は叩かれると「痛い」感情から反射的に叱ったり、注意したりすると思いますが、それは無意味です。叩かれた側の痛さを教えようと、叩き返すなど絶対に×。
そもそも、この段階の子どもはまだ“自分の手”を認識できていません。この月齢の赤ちゃんは、普段から壁を叩いたり、血が出るほど指をしゃぶったりと、痛そうな行動をしています。
このような刺激を与える行動によって、脳と手の協調を練習しているワケです。
脳が手に「モノを投げろ」と指令を出しても、思い通りに手がまだ動かせない段階。ご飯を食べる時にも、手づかみでさえ自分の口に上手に入れられない、そんな段階の子どもがする「叩く」行動に悪意があるワケがないですよね。
まだ「そ〜っと触る」ような微妙な力加減ができないので、ママを触りたいと思った時にも、力加減できないために、結果として叩く行動に。
叩かれたら、やさしく触れ合ってあげて
では、叩かれた時に親はどう対応したらいいのでしょうか。
もう叩いて欲しくない場合は、無視・無反応で対応すれば繰り返さなくなりますが、そもそも感覚器官を育てる意味もある行動なので、手を握ってあげたり、抱っこしてあげたりと、やさしく触れあって対応してあげると◎。
特にオススメは、ママの人差し指と中指で人型を作り、赤ちゃんの方へ歩かせて遊ぶ方法。
こうすると、少し離れたところから徐々に自分に近づいてきて、自分の手や腕などの上を歩く刺激によって、予測や感覚の統合の練習になります。その後、コチョコチョしてあげるとさらに喜ばれますよ。
1才過ぎの月例では、このように直ぐに反応するのではなく、少し赤ちゃんに考える間、準備する時間を作ってあげると、コミュニケーションがとれるようになっていきます。
一方で、注意したいのはベビーサインなどでコミュニケーションを急いでしまう事。弊社の統計上の情報ではありますが、ベビーサインなどで乳児の早い時期から意思の疎通を図ると、発語が遅れる傾向が出ています。
「ママ(パパ)に気持ちを伝えたい」という適度なストレスが、発語や表現などの発達には必要なのだと思います。
2才以降の叩かれる理由とその対処方法
また、月例が上がってくると、叩く強さを変えられるようになり、1才後半には例えば、積み木を自分の身長と同じくらいに積み上げるような微妙な力加減が身に付いてきます。
とはいえ、躾はまだ理解できないので、この段階でもまだ叱ったり、叩き返したりしてはダメ。対応としては、まだ、抱っこやコチョコチョが基本です。
2才を超えてくると、イヤイヤ期に入るので、叩いたりモノを投げたりする行動がエスカレートするかも。しかしこの場合も、叩かれたからと言ってやり返しては絶対にNG。
2才過ぎには、喜怒哀楽の感情が繊細に育ってくるので、叩かれた時には鳴きマネしたり、辛い演技をしたりして、嫌な時の感情表現方法を教えてあげましょう。
2才半頃になれば、叩いたとしても、ママが痛い悲しいと言えば、よしよししてくれるようになり、叩くことはなくなるでしょう。
もし、この月例でも叩くことが止められない場合、それは寂しさの表れかも。ちゃんと子どもと触れあう時間を作り、甘えさせてあげるように意識しましょう。
さらに年齢が上がり、3才以降でも人を叩く行動があれば、それはストレスが溜まっているサインかもしれません。
そんな時は子どもの言うことをちゃんと受け入れてあげましょう。
子ども扱いして、「ハイハイ、後でね。」などと、安易な約束をして紛らわそうとしても、子どもの記憶力はすでにしっかりしていきているので、親子の信頼関係が崩れてしましますよ。
約束事をちゃんと守る事、子どもの言葉を受け入れることが、暴力的な行動を抑える第一歩。
4才前後の叩く行動には要注意。キチンと伝えてあげよう
そして、4才頃でも人を叩く行動がある場合、ここだけは今までと対応が違います。
4才前後、3才後半~4才前半には、悪意ある行動をわざとする段階があります。
自分の中で「悪いこと」だと考える行動をやってみて、実際に大人から叱られるなどして「やってはいけない行動」であるとすり合わせする時期。
ここでは、大人が「子どものやることだから気にしない」、「とにかく叱らない教育」などと世間で流布されている言葉に惑わされ、対応しないでいると、子どもは自分の善悪の基準が間違っていると受け止めて、行動がどんどんエスカレートしてしまいます。
ひと昔前の放任主義的な育児では、この段階の子どもが疎外感を感じてしまい、結果的に大人が子どもに振り回される事に繋がっていました。
そういう家庭を見てきましたので、私は初めて出会った子どもでも、この月例であれば注意するようにしています。不思議なことに、注意されて喜ぶんですよね。心が読まれたような表情をして、その後は慕ってくれるようになります。
そして、5才以降でも人を叩く場合、これはもうその子はストレスがいっぱいな状況なのかもしれません。
家庭環境や人間関係、生活リズムなどを全般的にチェックして、修正していかなければいけないでしょう。
対応が複雑化してくるので、専門家のアドバイスを求められてもいいのではと思います。
私の娘は、現在小学1年生ですが、よく私のお尻を叩いて大笑いしています。
痛さを学び、力加減を学ぶ事は、他人との関係では中々、できない分野だと思います。なので、親になった以上、子どもにたくさん叩かれながら伝えていきたいと思います(笑)。
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[イヤイヤ期大解剖その1]赤ちゃんへの対応は言葉ではなく行動で示そう
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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