もしも子どもが不登校になったら。学校を休ませて話に耳を傾けて【前編】

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

【藤原さんの育児学Vol.70】もしも子どもが不登校になったら。その時どうする?《前編》

みなさん、こんにちは、6月に入って夏の到来を感じますね。

昔から「5月病」と言われますが、5月・6月は新年度が始まって様々な問題が顕在化してくる時期。今年は、コロナ禍3年目に入り、芸能人の残念な話題がありましたし、ニュースなどでも不登校の話題を目にし、改めてこの時期の過ごし方を考えさせられます。

私自身、中学生の時に不登校を経験し、今日までにたくさんの不登校の相談を受けてきました。

本コラムは、基本的に妊娠期から未就学児の方向けに書いています。ですが、過去のコラムのアクセス数を見ると、小学生向けのコラムも多く読んでいただいているようなので、今回は今まであえてふれてこなかった「不登校」について書いていこうと思います。

はじめに

最初に断っておきますが、不登校の原因はひとり一人違います。時には病気や犯罪が絡んでいたり、宗教や性の問題があったり。複雑な理由が入り組んでいるため、今回のコラムを読んで気分を害されたり、または全く当てはまらないという事もあるでしょう。

しかし、最近はインターネットなどで様々な情報が拡散され、関連書籍も多く並びます。それらの無責任な善意を信じた事によって、身も心もボロボロになってしまっている親子も多いのが現状です。

思春期外来や心のクリニックなど、医療分野の担当となる不登校もあります。ですが逆に、医療機関が患者を捕まえてしまって何年間も改善しない、医師や医療従事者のお子さんで不登校になり、地元では親の面子が気になり医療機関に相談できないなど、医療制度や環境の問題もあります。

歴史上、政府や各分野の専門家が不登校問題の解決に動いてきました。しかし、文部科学省が2021年10月に発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、小・中学校における不登校の児童生徒数は19万6,127人と過去最多。

少子化が進む中での不登校児童の増加。そして、コロナ禍で新たな問題も叫ばれる今日、私の住む鳥取県米子市でも、今春時点で約300名の子どもが不登校であるという情報も耳にしました。

今まで私は、自分の経験から「不登校」の枠組みで一括りにされる事は問題だと考えていたので、コラムなどへの寄稿は控えてきました。

しかし、社会ではフリースクールなど、不登校児を集める場が整備され、どんどん不登校児をまとめて扱う傾向になっていっています。

そこに問題点がたくさんあるのにも関わらず・・・。

どうして良いか分からない「保護者に対して」はそれで良いかもしれませんが、「子どもにとって」はどうなのでしょう?

子どもたちを守るために「不登校について書かなければいけない」、そういう思いで今回はこの話題を書くことにしました。

子どもが不登校になった時の初期行動は「休ませる」こと

まずは、「子どもが不登校になった時の対応」からお話していきたいと思います。

子どもが不登校になるには、もちろん原因がありますが、その原因を突き止めようとするのは止めましょう。

また、次々と病院やスクールカウンセラーなどに子どもを連れて相談に行くのも、子どもの負担になり、ますます心の扉を固く閉ざす理由となります。周りの行動は慎重さが必要です。

子どもが不登校になった時、まず最初に大切な事は、子どものSOSと捉えて休ませてあげる事です。

私は相談に来られた方々へ、不登校の捉え方として「登山中に滑落した状態」だとお話ししています。クラスの仲間たちと登山をしていた時、疲労などから石でつまづいてしまい、崖の下に落ちてしまったような段階であると。

本人は何が起こったか分からずパニックになっていますし、登山隊ははるか先の地点で登山を続けている、そんな状態。身体をケガしているかもしれませんし、リュックサックの中の物が壊れているかもしれません。

誰にでも起こりうる災難、そのひとつが不登校です。

この状態で、登山を再開する事を考えられるでしょうか?

不登校相談に来られる保護者のお話を聞いていると、「学校に戻そう」、「塾などで勉強の遅れを防ごう」、「部活などで友達との関係を作ろう」などされる方がとても多いです。

でもそれは、ケガをし心の動揺がある状態で、登山を再開させるような事ではないでしょうか。

子どもが不登校になった時、最初に考えなければならないのは、登山隊の仲間と離れた事ではなく、身体の健康状態。しっかりとケガを治し、リハビリをして準備をしてから登山の再開を考えるべき。

日本の義務教育期間は留年がないため、早く同級生の元に戻したいと大人は考えます。しかし、不登校の子どもたちの多くは疲れ切っているという状態なのです。

子どもの話を「すべて受け入れる」ことから始めましょう

当店へ相談に来られる際、一番多いのは母または父だけが相談に来るパターン。次がお子さん連れでお母さんが来るパターン。そして夫婦とお子さんで来られる事も時々。

そこで課題になるのが、「親が考え方を変えられるかどうか」。

私が上述のように、今は休むことが大切ですよと話をしても、「子どもが塾には行きたがっている」、「ピアノは続けているから止めたくないと子どもが言っている」と、子どもが親元から時間的に離れる事に関して、「子どもが言っているから」と都合良く解釈する方がとても多いです。

不登校になって家に引きこもる子どもは、親の愛着を欲しがっている場合も少なくありません。

1年の大半を学校生活に費やし、家族で過ごせない事が不安になっていたり、短時間の塾に行けば親が喜ぶ事を察してガマンして嘘をついていたり。子どもは親と過ごす時間不足により、“愛着電池”が切れている状態になり、それが物事に耐える力や鈍感力を低下させていくと思われ、その状態では子どもが正しい判断や意見を言える状態ではありません。

私は、子どもの心を癒やすために、「まずは子どもの言うことを、すべて受け入れてあげてください」と伝えています。

  • 今日何が食べたい?
  • 欲しいものはない?
  • 行きたいところは?
  • 一緒にやりたいことはある?

あれはいいけどこれはダメ、ではなく、まずは子どもの要求にすべて応えること。難しいのは当たり前、子どもはそうやって親を試しているんです。

ちゃんと向かえば、中学生、高校生でも世間を知らない子どもの要望なので、多くはすぐに解決できる事ばかりでしょう。

一昨年の5月、相談を受けた小学校4年生の女の子の場合ですが、お母さんが「娘が神戸のおばあちゃん家へ泊まりに行きたい。なので夏休みに行こうと思っています。」と。

そこで私は「なぜ夏休みまで先送りするのですか?学校を休んでいるのですから、明日にでも行けるでしょう?」と、子どもの要望を早く叶えてあげるように伝えました。

アドバイスは、こればかりではありませんが、このお子さんは数ヶ月後には学校へ通えるようになりました。

また、昨年の今頃相談のあった家庭では、中学1年生の男の子同伴で当店に来られ、話を聞いている途中にもその子はじっとしていられません。

そのため、親子別々に話を聞こうとしたのですが、その子が「お母さん離れないで」と強くアピールするので、手や身体を動かす姿を見守りながらの相談となりました。

落ち着いていられない行動はストレスの表れでしょうし、そういった時の言葉は真に迫っています。

逆に言えば、お母さんとの関係が上手くいっていないから、母親の横に居ても落ち着けていないのだと感じます。

1日の生活の流れ、家庭環境の事など、4時間ほどお話を伺い、このご家庭への私のアドバイスは、「家庭内の意思決定をお母さんが中心となるように、おばあちゃんとの時間を減らしてください。」というものに。

実はこの家庭、おばあちゃんが教育熱心で、お孫さんへ学校や成績の事、習い事など、いろいろと意見を述べられていたらしく、子どもはそれがストレスだったようなんです。

このお子さんも、夏休み明けには徐々に学校へ通うようになり、今では毎日通っているとの事。おばあちゃんにも、私から直接状況を説明し、おばあちゃん自身の人生も楽しんでいただくようにお話しました。

この2件に限らず、子どもの要求は直接的であったり、突然ふと言葉になったりと、親が聞く耳を持っていなければ聞き流してしまう事も多々。しかし、こういった子どもたちの言葉を聞き漏らさなければ、解決への近道となると私は考えているので大切にして欲しいと思うのです。

最大のポイントは「親子関係の再構築」

子どもが不登校になった時の対応の第一歩は、親子関係の再構築。

つい先日も、中学2年生男児の不登校相談に来られたお母さんがおられましたが、息子さんには私から話を聞いたこと、誰からアドバイスをもらったことは、今は伝えないでくださいとお願いしました。

この家庭の場合、お話を聞いている最中にもお母さんが何度も涙を流される状況。お母さんの不安や動揺が大きく、この状態では子どもがより不安を募らせることになります。

この方は、息子が不登校になってから、本をいろいろ調べ、心療内科やスクールカウンセラーにも相談へ行かれていました。

子どもから見れば、これらの行動は他力本願に映ってしまい、「今までお母さんを信じてきたのに、お母さんは正しくないの?」という新たな不安の種になってしまいます。

実際、過去の不登校児の話を聞いた時、「親に裏切られた」と答える子どもはかなりの数になり、こうなると家庭では問題が解決しません。子どもが不登校になった際、解決を急ぐ余り、子どもの声に耳を傾ける事を怠り、専門家と呼ばれる人の言いなりになっていく事は避けたいもの。

この家庭の場合、まだ一度話を聞いただけなので、学校にはまだ通えていないようですが、体育祭などのイベントには行く素振りがあったとのこと。もう少し様子をみていきたいと思っているところです。

冒頭に書いたように、私が相談を受ける時、直接的な不登校の原因はあまり重要視しません。

イジメがあったり、テストの成績が悪かったり、父親に叱られたりと原因は様々ありますが、疲労がなければ子どもは乗り越えられる壁であったはず。

原因を突き止めようとすると、子どもにとってはそれ自体がストレスとなります。基本的には過去より未来、この先どういう環境で生きていきたいのかを一緒に見つける問い方をしていきます。

そうして、信頼関係が改善し、心の余裕が生まれれば、言いにくかった事も話せるようになるんです。

もちろん、そこに性犯罪や暴力など、明確な違法行為がある場合は対応が変わってくるでしょう。また、発達障がいに関わる事が原因の場合もあるので、心療内科などを受診した方が良い場合もあります。

ですが、子どもが今、目の前で疲れ切っている事を理解してあげて欲しいと思います。

今回のコラムはここまで、次回はなぜ日本社会で不登校が減らないどころか増えているのかを、私の目線で書いていきたいと思います。

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店は正に秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

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