赤ちゃんがグズる原因、実は「思い出し泣き」かも。その対処方法は?
【藤原さんの育児学Vol.73】赤ちゃんがグズる、その原因と対処方法を紹介
みなさん、こんにちは。夏バテしてませんか?
この時期、小さな子どもを抱っこするだけでも汗がドバッと出て大変。
地面からの放射熱、紫外線が気になる強い太陽光、脱水症状にならないかなど、心配事がいっぱいです。オムツ蒸れや虫刺されなどの肌のトラブルも増えますよね。
1日何もしなくても疲れるのに、赤ちゃんがグズって泣き出すと疲労は倍増。人間って、どこまでストレスに耐えられるのだろう・・・?と逃げ出したくなりますよね。
今回のコラムは、先日店頭で相談を受けた「思い出し泣き」についてお話しようと思います。
大人でも難しい「記憶」のコントロール
みなさんは、「思い出し笑い」はしたり、聞いたりしたことがありますよね?
何かの切っ掛けで、ふとテレビのお笑い番組を思い出したり、友人のドジな失敗を思い出したりして、クスッと笑ってしまうアレです。
人間の記憶は不思議なもので、別に重要な事でもなく、思い出したいワケでもないのに、なぜか思い出してしまう事っていろいろあると思います。
しかし、大人になると、ある程度記憶を整理することが上手になり、時系列や重要度で仕分けてしまわれていきます。
トラウマやフラッシュバックなど、嫌な思い出を忘れることができない面もありますが、だいたい記憶はいいことを思い出しがち。
ケンカ別れした昔の恋人の記憶、学生時代の記憶。楽しい記憶が多く残っていませんか?
育児の記憶も、子どもが大きく育っていくと、見事に辛かった記憶を忘れてしまいます。
もちろん、全てを忘れる訳ではありませんが、私自身、時々思い出せなくなっている事に驚きます。人間は、特に育児の辛い記憶を忘れるようにできているのかな?とさえ思うほどに。
原因不明のグズりが増える1才3ヶ月ごろ。その特徴と、対処方法は?
さて、このように大人でもコントロールが難しい「記憶という作業ですが、赤ちゃんは当然上手にできません。
先日店頭に来られたママから「突然、何もないところで泣き出すので、“え?私何かした?”、“ママ変なモノ食べさせた?”って思うのですが理由が分からず。こんな時どうしたら良いのでしょうか?」と相談を受けました。
1才3ヶ月の男の子。発語や指さし、一人歩きなど成長はバランス良く順調なお子さんです。
私は個人的に一番好きな月齢が1才3ヶ月なのですが、その理由は後ほど書きますね。
1才3ヶ月頃の記憶周期は、1週間程度とみられています。
とはいえ、昨日の記憶、一昨日の記憶、4日前の記憶と、時系列に整理して思い出せるワケではありません。
そのため、大人が「思い出し笑い」をするのと似た感じで、突然少し前の事に対して泣き出したり、機嫌が悪くなったりする事があります。
自分の子どもをはじめ、講演会場などでもこういった場面をよく目にします。ですが、多くのお母さん・お父さんはこの時、「眠たいのね〜」などと、グズる理由が分からないと、全て眠たい時のグズりに決めつけてしまう傾向が。
眠たいなら抱っこしたり、おんぶしたりして寝かせればいいのですが、思い出し泣きの場合は、抱っこなどを嫌がって暴れます。
すると親御さんは困って、ますます「眠たいのね、もう寝ようね」と、寝かそうと力ずくで抱っこや、車に連れて行こうとされます。
こういった場合の対応は、思い出してしまった記憶を入れ替えないといけないので、寝かせようとしてはいけません。
では、どうすればいいのでしょう?
1才3ヶ月のお子さんなら、「ビックリさせてあげる」のがオススメです。
泣いていても、ワッ!と脅かしてあげると、笑顔になる不思議な月齢なのです。もしかすると、ママに怒られた事を思い出して泣いていたかもしれません。
記憶の世界に意識がいってしまった時には、脅かしやコチョコチョなどで少し刺激を与えたり、食べ物や飲み物で釣るなどして、現実世界に意識を戻す事がコツ。
その他ほかの月齢でも、2才後半の女の子でよく聞くのが、何もない・誰も居ない空中に向かってお喋りしていて、後で「何をしていたの?」と子どもに聞いたら、「○○ちゃんと遊んでいたの。」などと幽霊や座敷童でも見ていたかの様な行動が出る場合があります。これも記憶の中に意識が繋がっている事が理由なのかもしれません。
ま、実際に座敷童が居るという事も考えられますが(汗)
人間はロボットではないので、目から入った情報を処理するにも成長段階があります。
よくお腹の中の記憶を思い出して話す子、お母さんのお腹の中から出てくる時の話をする子どもの話が取り上げられることがありますが、そもそも目が見えるようになるのが生後6ヶ月頃からなので、理論上あり得ません。
これらも、「思い出し泣き」や座敷童説と同じく、記憶や想像力の賜物なのではないかと私は考えています。
しかし、実際はどうであれ、大切なのはママ・パパのストレス軽減なので、何を信じるかは本人次第なところはありますが。
1才3ヶ月ごろは行動が多様化する育児の激変期!?
1才3ヶ月頃から始まる、このような記憶の複雑な成長は、そのほかの行動にもたくさん現れてきます。
上で紹介したように、初めて会ったお子さんでも、転んで泣いた時、私が両手を開いて「ワッ!」とすると、一瞬で泣き止んで笑ってくれます。この時期は、私が卒乳をオススメするタイミングでもあります。
小走りが始まって自分の手や身体を認識し始める時期であったり、バイバイや乾杯などのコミュニケーションが取れるようになって、親以外の人との社交性も生まれてきます。
車や電車に興味を示す男の子っぽさや、ハートやお人形などに興味が出てくる女の子っぽさも、自然と行動に表れてくる段階。
公園に遊びに行けたり、ベビーカーに乗らなくなったり、DVDを自分で入れたり、おもちゃを冷蔵庫などに入れるような大人の行動を上手にマネし始めるのもこの頃。
上の兄姉がいると、ひょうきんな一面が出てきたり、音楽に合わせて踊ったりと、育児が楽しくなってくる段階です。
本当におもしろい、不思議な月齢なんですよ。
お子さんが1才3ヶ月になっていないお母さん方、今は大変かもしれませんが、ひとつの目標は1才3ヶ月。
育休をいつまでか悩んでおられるお母さん、1才頃で育児に疲れて保育園に預けようと思われていたら、少し待ってください。
1才3ヶ月頃からの育児はかなり変わります。
私は、1才代が子どもの一番カワイイ時期だと感じているので、この時期を人に預けるなんて本当にもったいないと思います。子どもを授かった幸せを実感できる、0才育児で頑張った分のご褒美が1才代。
おもちゃでも、いっぱい遊べるようになってきますし、ご飯も大人と同じようなモノが食べられるようになってきます。1才代の育児をママやパパが楽しめるような世の中になって欲しいと願うばかり。
周りは気にせず、赤ちゃんとの時間を大切に
ちなみに今回この相談寄せられたお母さんには、もう1点アドバイスをしました。
1才3ヶ月頃の子どもは、ほかの子どもの行動はマネし始めますが、お友達という概念はまだ存在しません。
子どもの社会性を育てるためになどと、世間では1才児をほかの子どもとふれ合わそうとします。
しかし、社会性が生まれてくるのは2才以降。なので、それまではお友達や、ほかの子どもと積極的にふれ合わせる必要は特にありません。
逆に、下のお子さんができると、赤ちゃん返りなどで寂しさを感じてストレスになることも。お出かけは大切ですが、ほかの子どもとふれ合わせようと頑張らないようにしていただければと。
夏の暑さがピークを迎える今の時期。世のお母さん、お父さん、夏休みに思い出を作ろうと無理しないで、育児を楽しんでいただければと思います。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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