育休を延長しようかどうか悩んでいる方へ。育休利用は社会貢献の一手かも
健やかに母子が暮らしていくうえで「育休」は大事な制度
みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。
コロナ5類移行に伴い、街が活発に動き出してきましたね。私はGW、益田市『グラントワ』で開催された北欧マルシェに出店してきたのですが、たくさんのお客さんで、久々に商売を楽しめました。
小売業は、コロナ禍で瀕死の状況でしたが、やはり接客は楽しいもの。夜には学芸員さんから紹介受けた、焼鳥の『いいかげんや』に家族で行って、これまた大満足。みなさんにもオススメのお店です。
普段、日刊webラズダで島根県西部の情報をいろいろ目にはしていたので、今回は久々に島根県西部でいっぱい思い出作って帰ってきました。そんなこんなで、5月は高津川流域に染まった1ヶ月でした。
さて、今回は日記みたいな出だしになりましたが、コラムの内容は最近多い「育休の相談」について。
芸能人を見ても、仕事をセーブするなどして、何年も育児に専念する方もいれば、出産後すぐに仕事復帰される方も。
私の周りにも、様々な方がおられますが、私の返答はひとつ「しっかり、最大限に育休を取得してください」というもの。
当コラムでは、しばしば北欧や海外の育休制度を紹介してきましたが、それと比べるわけではなく、みなさんにはもっと「育休が取れる幸せ」を知って欲しいと思うのです。
育休制度は先人たちによる悲願の結実
そもそも、日本の歴史において、母子が安全に一緒に過ごせる環境を作ることは悲願のひとつ。
若い方は知らないかもしれませんがNHK朝ドラ「おしん」や、「母をたずねて三千里」などの物語は、子どもがお母さんを探すお話。子どもに安全安心な衣食住を提供できるように、政治家も専門家もずっと頑張ってきたのです。
医療においても、出産時における赤ちゃんの延命率は劇的に伸び、予防接種や啓発活動などで、子どもの病死や事故死もかなり減ってきています。
弊社も受賞している「キッズデザイン賞」は、子どもの死因の第1位が「家庭内の事故」というデータを元に、家庭内環境を安全にする取り組みとしてスタート。
育休をとることに躊躇してしまうのはなぜ?
「育児」と聞くと、女性ばかりが負担を強いられているイメージがありますが、歴史上の男性たちもそれぞれ母子の環境を整える事に励んできていたのです。
もちろん、まだまだ道半ばではありますが、今日の育休制度でさえ、人類の夢の叶った制度。
しかし今、育休を取ることに不安を抱えている方が増えているように感じます。それは、物価上昇や保育環境の整備なども原因でしょう。
先日相談に来られた方は、「夫が私に稼いで欲しいと思っているようだ」と。この悩みはもっともですが、状況を改善するには正しい税制の知識、子どもの発達に関する知識が必要です。
住民税などは、前年の収入を元に計算されるため、育休1年目は休んで給料が減っても、引かれる部分が残ったまま。だからといって、すぐに仕事復帰すれば、なおさら休んでいた分の減税になる金額が減少。
日本社会は、「税金ではないが、実質的に税金のような支払い」が多い国。目先のお金を追うばかりに、損をしている事もあるでしょう。
子どもの環境から考える育休制度
子どもの環境から見たらどうでしょう?
15年ほど前、スウェーデンの研究で、保育園に早く入った方が子どもの知能の発達が早いという論文が出された事があります。
当時は、子どもの発達が今ほど科学的に分析される前。スウェーデンが少子化対策として、保育園整備を進めるための研究だったのかもしれません。
その後、スウェーデンでは、親子関係の構築の重要性が再認識され、今では育休が義務化されています。
日本は待機児童対策として、保育園整備が一気に拡充。一方で質が下がり、近年、保育士養成課程の志願率は急減しています。ひと口に保育園へ行かせるといっても、親が見ていない環境の質は、その時の時代で中身がガラリと変化。
ハッキリと言えば、日本の保育園の質は、近年悪化していると私は感じます。保育士の負担を軽減し、保育園の質を改善するためにも、みんなが育児を保育園に任せっきりにしない社会構築が必要だと考えます。
子どもの「発達」から考える育休制度
では、子どもの発達の観点ではどうでしょう?
ネットでは、「早くから保育園に入れた方が社会性が育つ」、「家で教えられない事をいろいろ教えてもらえる」といった言葉が散見されます。しかし、私からするとこれらは誤り。
例えば、社会性とは何でしょう?
子どもは、生後5ヶ月ごろに記憶力が生まれ、記憶したことを短時間キープします。しかし、1日も持ちません。
生後10ヶ月ごろには、後追いや人見知りをしますが、それはママを覚える大切な行動。ここでしっかりママを覚えることで、今後の人生においてママを見て、ママを基準に育っていく土台を作っているのです。
しかし近年、最初の発語が「せんせい」という子どもが出てきているように、1才ですでにママが基準にになっていない子が出始めています。
この家庭では、今後ママの言うことを聞かないでしょうし、ママの言葉のイントネーションを理解したり、表情から善悪を察知したりしなくなり、育児が大変になっていくことが推察されます。
1才3ヶ月ごろになれば、子どもは自然と家族以外のほかの子どものマネを始めます。2才頃にもなれば、複数人と遊びたい欲求が芽生えてきます。
社会性とは、こういった《ほかの人達との関わりの能力》ではないでしょうか?
社会性を求めて、家庭内の親子関係が構築できないのでは、本末転倒であると私は心配します。
家で教えられない事を、保育園で教えてもらうメリットはあるのかもしれません。ですが、3才過ぎには一旦記憶のリセット段階もあり、子どもが慕った保育士とは、長くても数年で別れることを考えると、親子の時間が減ることによるデメリットの方が、子どもにとっては問題であると思うのです。
とはいえ、最近では様々な理由でシングル家庭も増加。マンパワーで育児も仕事もしないと生きていけない環境の方もおられます。
そういった家庭の子どもに対して、しっかりとした保育ができるように、保育園環境の整備は必要ですし、社会的なサポートが必要。
今の社会のように、みんなが保育料無料に飛びつくと、本当にサポートが必要な家庭に適切な対応ができなくなるわけです。
育児が分からないからプロに任せる、育児が大変だから子どもと離れたい、お金が欲しい。そうではなく、《社会の一員として育休を取得する》ことが社会貢献になっているのだと理解していただきたいのです。
育休の相談に来られた方に必ず伝える言葉があります。
「世の中には、育児をしなくて後悔している人は沢山いるけれど、育児をして後悔している人を一人も知らない。」
後悔先に立たず、しっかり考えていただければと思います。
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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