少子化と離婚率の関係性。「生後8ヶ月の壁」を乗り越えるには
離婚データから考える少子化とその要因。ポイントは「生後8ヶ月」
みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。
さて、今回のコラムは、「少子化」について書こうと思います。
今春、大山の麓に子育て支援センター『コーセリ』を開所し、私は2代目代表として地域の育児環境の課題解決のため、各方面へ提言を行っています。米子市子ども総本部や、鳥取県庁の様々な課の方々と話してきましたが、やはり鳥取県の課題は少子化。
その行政が行っている対策ですが、完全に的を外していると私は考えています。
厚生労働省が令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告の中で、「母子世帯になった時の末子の年齢階級別状況」というデータを公開しています。
それによると、総数1,195,128名中、0~2歳が446,922名と、実に37.4%もの子どもを持つ家庭が離婚。
その後、3~5歳が246,700で20.6%、6~8才が158,443で13.3%と、末の子どもの年齢が上がるにつれ件数が減少。
このデータから、子どもが2歳になるまでの育児中に、離婚の選択をしている家庭が特に多いことが分かります。
離婚の良い・悪いは置いておいて、考えなければならないのは、なぜ子どもが小さい内に離婚しなければならないのか、という事。
そもそも、結婚して子どもを授かった二人は、多くがすごく幸せなはずではないでしょうか?
「末子が2才になるまでに離婚」という事は、子どもを生んだことが離婚の原因になっているとも。
さらに、夫婦喧嘩や話し合いなどが行われた後に離婚しているワケで、恐らく離婚の半年くらい前には、原因となる何らかの出来事があったと推察できます。
現在、産後ケアなどのサービスが普及してきていますが、私が育児で注視しなければならないと考える時期はもっと後。
具体的には、子どもの生後8ヶ月~1才3ヶ月までの間の家族関係のあり方です。
以前、少子化担当大臣が2ヶ月育休を取って話題となりましたが、生まれて2ヶ月間だけではまったく足りません。確かに、生まれてすぐは赤ちゃんもお母さんもあまり動けないので、買い物や料理などの手伝いは必要。
しかし、育児でママが追い詰められ、離婚に繋がるような家族の溝は、産後よりも1才前後に起こると考えられます。
では、この段階で何が起こっているのでしょう?
複合的にプレッシャーとストレスが絡む「生後8ヶ月の壁」
私が「生後8ヶ月の壁」と捉えているこの時期、赤ちゃんの成長段階から見ると、離乳食が2回食から3回食へと発展する段階。ウンチが臭くなり、夜泣きの発生が増えるころです。
生まれたころのかわいらしい「オギャ~!」から、生後8ヶ月ごろには「キーキー!」と泣き声のトーンが高くなり、耳に響く大声で泣くように。
出かけ先で泣かれると周りの目が気になるので、外出が減ったり、家にいても近所に迷惑をかけているのではと不安になったり。気が休まらなくなってきます。
ずり這いでの移動が始まり、後追いが始まるのもこの生後8~9ヶ月の段階。後追いが始まると、ママが見えなくなるだけで泣くため、お風呂もトイレもママは一人でゆっくり入れなくなりますよね。
さらに、約80%のママで月経が復活、赤ちゃんと一緒のお風呂はより大変。
また、仕事復帰のために保育園を探したり、様々な書類に悩んだり。体重が増えて重たくなった赤ちゃんを抱っこしながらの生活は、まさにカオス状態です。
夫にSOSを伝えても、赤ちゃんはパパの抱っこでは泣き止まない段階なので、役に立ちません。このごろの赤ちゃんの記憶は1~2日間と見られ、週末しか相手をしてくれないパパの事など忘れているのです。
ママのストレスが高まっていく1才前を乗り越え、初めての誕生日を迎えた後には歩き出し、行動範囲が一気に拡大。ゴミ箱や冷蔵庫など、赤ちゃんはいろいろなモノに興味津々。危険や汚いも関係ありません。
そして卒乳が近づき、ママ自身の女性ホルモンの変化も出てきます。
脳で分泌されたストレスホルモンが母乳から伝わる時期とも言われ、ママが疲れると赤ちゃんの情緒に影響する事も。こうなると悪循環に陥り、ママはドンドン追い詰められていきます。
大好きだった夫に、攻撃的な言葉を発したり、嫌味を言ったりする背景には、強烈なSOSの影。しかし、その背景を多くの男性は知らず、夫婦の絆にも亀裂が・・・。
家族の笑顔を見たいと、一生懸命働き、疲れて帰ってくると妻からの心ない言葉。頑張っている事が理解されないと夫は心が折れてしまいます。そして、夫婦の会話が減り、家庭以外で癒やしを求める夫。妻はそんな夫のグチをママ友と共有。この亀裂が修復できなくなって、ついに離婚となっていくのではないでしょうか。
厚生労働省のデータが表しているように、子どもが2才を超えてからは離婚する夫婦が減少。2才は「魔の2歳児」、イヤイヤ期と言われる第一反抗期の段階で、育児はすごく大変な段階です。
しかし、この段階の育児では、離婚にまで至る家庭が少ないのは、ママの方のホルモンバランスの変化が軽微だからかもしれません。夫も、子どもとコミュニケーションが取れるようになり、子どもも社会性が出てくるので、ママ以外の人と遊べるようになってきます。
夫婦の協力で、育児や家事の分担ができるようになりますし、テレビやYouTubeなどで、子どもの気を引くこともできますしね。
また、別の視点で見てみると、晩婚化や高齢出産もポイントに。親の年齢が更年期障害の段階とかぶり、何にでもイライラして感情をコントロールできないゆえに、一番近くにいる人に当たってしまう状況も見られます。
更年期も近年、理解が広がってきましたが、まだまだそれが夫婦喧嘩や離婚率と因果関係があることまでは知られていないのではないでしょうか。
愛し合って結婚した二人、本当に離婚したほうがいい人達もいるでしょう。しかし、女性の体の変化や、子どもの発達の変化などを知識として知っていたら、防げた離婚も多いのではないでしょうか。
日本の少子化を止める第一歩は、産後1年前後に母体や子どもに何が起こるのかを大人が学び、社会がこの「生後8ヶ月の壁」を乗り越えられるように見守る環境の整備だと思います。
私の活動や研究は今、この段階を乗り越えるために、何ができるのかに焦点を当てています。子どもが「生まれてきて良かった!」と思える社会の実現のため、みなさんも一緒に考えてみませんか?
お知らせ
10月2日、私がシニアアドバイザーを務める米子市『カニジルブックストア』が、新世代の無人書店として新装オープンしました。と言っても、私は少しお手伝いをしたのみで、代表の田崎氏が出版界の課題を解決すべく奔走された成果です。
『カニジルブックストア』は、鳥大病院の正面入口入って左手にありますので、病院に用事が無くとも気軽に足を運んでいただければと思います。ただし、スマホでQRコードを読み取れないと入れませんので、スマホを手に最先端の無人店舗システムを体感ください!
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この記事を書いた人
Reindeer 代表取締役社長
レインディア藤原さん
北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。
最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。
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