子どもたちの未来のために「意見を戦わせ、自身の意見を昇華する力」を!

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

次世代の人材、子どもたちが国際社会で生き抜くために必要な教育とは

■藤原さんの育児学Vol.103■

みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。コロナ5類移行後の秋、いかがお過ごしですか?

「社会が変わってしまった。」

最近よく耳にしますが、私自身も痛烈に感じています。特に小売業界は厳しく、景気の悪い方向へ変わり、スーパーや商店街、百貨店や書店など、全国各地で寂しいニュースが流れています。

私の経営するお店も例に漏れず売り上げが下がっていて、変革を求められています。

教育現場も似ており、コロナ以降、元々、増加傾向の不登校児童数がいっそう増加。教員の精神疾患離職数も過去最多を更新していてるとのデータも発表されました。

今まさに、社会が音を立てて崩れている最中なのかもしれません。「失われた30年」と言われ、日本はまだ底が見えていない状況。一方で世界では、ここ10年20年の取組によって成果が現れている国も。

そこで今回のコラムは、《次の時代の人材を育てるためにどうするべきか》を書いていこうと思います。

世界では今、「脳の創造力を発揮するための教育」に移ってきている!?

先日、ネットのコラムを読んでいたら、デンマークがユニコーン企業をたくさん輩出していると書かれていました。

「ユニコーン企業」とは、評価額が10億ドル以上で未上場、かつ創業から10年以内のテクノロジー企業のこと。私の店は北欧家具を扱っているので、近年のデンマーク家具動向は注視していました。

感じていたのは、「新しいデザインが生まれてこない」事。

私がお店を始めた2005年ごろは、スウェーデンの「IKEA」やフィンランドの「マリメッコ」など、様々な北欧デザインが百花繚乱、まさにブームの夜明け。その背景には、人口の少ない北欧諸国がデザインの特許である意匠登録で活路を見い出した点が挙げられます。

国立のデザイン学校が整備され、小さなデザイン事務所がたくさん生まれていました。

しかしそれから約20年、最近は巨匠の作品の復刻販売、色目を変えただけの品々が増え、新製品ではアジアや世界のデザイナーを使い、北欧出身のデザイナーが減っている印象を受けていました。

それどころか、生産国自体が北欧ではなくなってきていました。北欧は今、いったいどういう舵取りをしているのだろう?

物作りの時代が終わり、デザインでも守られなくなり、進化や変化の激しいIT時代に対応する人材を育てるため、デンマークの教育は、クリエイティビティ教育とか、ディベート教育を導入。

これまでの教育は、歴史や数学の公式などを覚える、脳の記憶力を試す教育が主流。その中で今、世界では新しいアイデアを生むための教育、脳の創造力を発揮するための教育に移ってきているようです。

意見をぶつけ合えるコミュニケーション力を

もっと端的に言えば、「答えの分かっている学問」から「問題を見つける学問」へと移行しています。

これは、リーマンショック後のハーバード大学の教育方針の変更など、世界的な流れですね。「問題を見つける学問」は、コンピューターに聞いても分かりません。

フィールドワークで、地域の人々から様々な話を聞き、課題を見つけ解決のためのアイデアを生み、それを実行するための計画を立てる。その循環こそが「問題を見つける学問」の一端です。

日本では、未だに多数決で多くが決まります。以前、日本でもディベート教育が取り入れられた時期がありましたが、最終的に優劣を多数決で決めていて、コーディネーターの未熟さから発展せず・・・。

デンマークのディベート教育は、例えばクラスで「今日はAという考え方のチームと、それに反対するBというチームに分かれましょう」といった具合に、自分の考えは置いておいて、意見のぶつかり合いや相対的な考え方を生む力を養成しています。

その後に優劣を決めるのではなく、《AでもなくBでもない、もっと新しいCというアイデアを生まれてくる》方向に進めます。

良いアイデアも、多くの人は人に知られるとマネされる、奪われると考えるかもしれませんが、人にぶつける事でより良いアイデアに育てることができます。それを技術的なコミュニケーション力で達成しようとするのです。

コミュニケーション力の弱さが古来から日本人の課題なので、かなりハードルが高いかもしれません。しかしながら、国際化社会を生き抜くためには、この《意見を戦わせて、新しい発見を生み、自分の意見を昇華する力》を鍛えないといけません。

ネットを見ていると、論破とか専門家の意見で善悪を判断している人々を多く目にします。が、これは日本の教育に何かが足りていない証拠だと思います。

意見を戦わせながら、どんどん感情的になり、黙ってしまったり、論点をすり替えてしまったり。討論に慣れていないと建設的な話し合いができなくなります。

多様性が認知され、SDGsなど誰も取り残さない世界を目指す今日、私たちはもっと多くの人と出会い、会話していく必要があるのではないでしょうか。

「多数決で意見の対決を終わらせない」

みなさん、親として、子ども達と会話する時間を増やすことから始めてみませんか?

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この記事を書いた人
レインディア藤原さん

Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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