【山陰の企業】木を育てるように未来を見据えながら地域と歩む。雲南市の「田部グループ」【ラズダ広告】
木を育てるように未来を見据えながら地域と歩む。雲南市の「田部グループ」
みなさんこんにちは!鳥取・島根のタウン情報誌「ラズダ」編集部です。
「日刊ラズダ」では、山陰で就職を考えている方に向けて、鳥取・島根の優良企業を約2ヶ月にわたって毎日紹介中!
今回取り上げるのは、島根県雲南市の「田部グループ」。
ネット情報や説明会で企業情報を得ても、会社の風土や社内の雰囲気まではなかなか見えにくいもの。そこで編集部では、代表者が語る企業のビジョン、現場で働く社員のリアルな声など、数字だけでは伝わらない魅力を多面的に取材してきました。
学生の方、UIターンを検討している方、学校関係者や保護者の方まで、ぜひ企業研究の参考にしてみてくださいね♪
「田部グループ」ってどんな会社?
たたら製鉄を礎に560年 人と自然の共生をテーマに 事業を拓き次世代へつなぐ
島根県雲南市吉田町、松江市などを拠点に、山林事業から「食」と「住」に関わる事業に領域を拡げ、新産業創出に挑戦する「田部グループ」。
住宅の新築・リフォームの設計施工、造園・外構工事、公共施設の環境緑化工事などを行う「株式会社たなべの杜」。ケンタッキー・フライドチキンをはじめ、ピザハット、マネケンと、世界的外食産業のFC運営を中国5県、大阪、兵庫で展開する「株式会社TANABEグローバルキッチン」。保有する山林の維持管理をはじめ、平飼いのこだわり卵、特産食品の製造販売、吉田町の地域開発・活性化事業を行う「株式会社たなべたたらの里」、そして酒類の醸造販売を行う「株式会社田部竹下酒造」と、グループを構成する4社は2019年以降に新設されていますが、どれもグループの主体となる「株式会社田部」が取り組んできた事業、あるいは縁のある事業を引き継ぎ、さらに発展させるために分社化した形です。
田部グループを経営する「田部家」は、江戸時代にたたら製鉄で栄えた日本有数の山林地主で知られています。
たたら製鉄とは、粘土で築いた炉内に「ふいご」で風を送り、原料の砂鉄と木炭を燃焼させ、純度の高い鉄や鋼を取り出す製鉄法。島根県南部の中国山地一帯は、良質な砂鉄、清流、森林に恵まれ、古代から野外でのたたら製鉄が盛んでした。
田部家の祖先は、鎌倉時代の1246年、紀州熊野から旧吉田村に入部。室町時代の1460年、初代・田辺彦左衛門が、川で砂鉄を採り製鉄を始めたのが、現在の田部グループの事業活動の起点です。その後、戦国時代の乱世には製鉄ができず、一族は今の広島県に逃れるものの、江戸時代前期、6代目が吉田村で鉄づくりを再興。最新の踏板ふいご、製鉄を通年行える屋内施設や鍛冶場を開設して鉄の生産量を高め、企業たたら経営を確立しました。
一方、たたら操業には大量の木炭が必要で、森林資源の安定的な確保が大命題となります。田部家は、保有する山々で広葉樹を伐採する計画を立て、数十年かけて元通りの豊かな山になるという、自然の循環に合わせた資源調達を行いました。山を育み、守りながら営んだ製鉄事業の根幹には〝人と自然の共生〟があり、永い時代を経ても変わりません。現在の山林業、木材生産、住宅事業、特産食品の開発など、グループの事業に息づいています。
人を想い、常に革新を続け 地域を担う企業へ
室町時代から令和まで、25代続く田部家。江戸時代には櫻井家、絲原家とともに松江藩の鉄師頭取を務め、製鉄業の中心的役割を担いました。この間、苗字を田辺から田部に改め、藩から屋号「前綿屋」、「長右衛門」の名を賜ります。10代目より、家督を継ぐ当主は「田部長右衛門」を襲名しているのです。
出雲地方で生産される鉄は品質が高く、最盛期には全国の鉄生産量の約8割を占めましたが、明治時代になると、原料の砂鉄に代わり輸入の鉄鉱石を用いた大規模な製鉄業が主流となり、たたら製鉄は衰退。田部家でも、明治維新を機に松江藩という最大の取引先を失って以来、規模を縮小し持ち堪えていましたが、1923年、21代目が廃業を決断。約400年の製鉄業で培った林業、木材生産業、当時産業や家庭の主燃料だった木炭の製造販売に、地域の新たな産業創出の可能性を見出し、家業をシフトしていきました。
現在のように、グループで多角的事業に取り組むようになったのは、23代の時からです。早くから経営の近代化を願っていた23代は、1946年、株式会社田部の基礎となる丸田薪炭有限会社を創立。翌年には、現在の日新グループの母体・日新林業株式会社など複数企業を創立し、山林開発、構造材の合板製造など、島根の林業振興に貢献。後の自社の建築・住宅事業進出へつながっています。
また、私財を投じて松之舎病院(現在の県立中央病院の前身)を設立したほか、大手新聞社に買収されかけていた地元新聞社を合併して島根新聞社(現・山陰中央新報社)を設立。地方紙の育成に努めました。続いて1959年に家督と社長を継いだ24代は、69年に島根放送株式会社(現・山陰中央テレビジョン放送)を設立し、メディア・IТ事業へ進出する一方、72年には日本ケンタッキー・フライドチキンとFC契約を結んだのを契機に、外食産業へ挑戦。さらに96年には吉田町に「たなべ森の鶏舎」を開設し、平飼い卵の生産や特産食品開発など地域の農産・食文化振興に道を拓きました。
そして、現代。先代から〝自然と文化を残しながら、郷土の発展を図る〟という、田部家の使命を引き継いだのは、25代当主・田部長右衛門氏(45)。大学卒業後はフジテレビ勤務を経て、2010年から現・田部グループのトップとして経営に関わります。15年、36歳で田部長右衛門を襲名しました。
オリジンの〝山〟を起点に 愛される里づくりを目指す
田部長右衛門代表は、家業を継ぐとともに、2016年、「山陰中央テレビジョン放送株式会社」代表取締役社長に就任。広告代理業や情報通信事業などを展開する「ТSKグループ」を束ねています。
「今後は田部グループとТSKグループ、両輪の翼で地域、島根の発展を担っていきたい」。田部代表が、次の100年を見据えて社員と取り組んでいるのが、たたら製鉄の歴史をともに紡いだ山を守り育み、そこから生まれた文化や暮らしの豊かさを次世代につなぐ「たたらの里づくり」。6年には「たたら事業部」を立ち上げ、18年に、吉田町で約100年ぶりに「田部家のたたら吹き」を復興させました。翌19年には、町内の広さ3・5ヘクタールの山に、7000本の山桜を植樹しており、「木を育て売ることだけが林業ではない」と話す田部代表。山林部社員の発案から23年春に開設した「フォレストアドベンチャーたたらの里」は、またたく間に認知が拡がりました。若い家族連れだけでなく、県内外の企業から社員研修の場にと、貸し切り利用されることも多いとか。「広島や愛媛からのお客様も多く、フォレストアドベンチャー自体は好調ですが、付帯設備も整えたい」と語ります。
24年中に森の中のカフェ、町内に江戸期の屋敷跡をリノベーションした宿泊施設(5棟)を開設予定。また、吉田町の玄関口の道の駅たたら場壱番地では、「たなべ森の鶏舎」が生産する平飼い放牧のこだわり卵を使ったスイーツを販売していますが、24年4月、新たに「金ちゃん亭」をオープン。たまごかけご飯はもとより、親子丼や卵の黄身がのったカレー丼などの軽食が好評で、今後は多店舗展開も視野に入れています。
2022年秋、吉田町の隣の掛合町に創立した「株式会社田部竹下酒造」では、翌年の試飲醸造を経て、23年に初搾りとなる「理八901純米吟醸」「理八1801純米大吟醸」を送り出しました。冠名の理八とは、150余年前に田部家が酒づくり事業を委ねた竹下家6代、理八氏の名前にちなんでいます。新鋭の杜氏・濵崎良太さんを迎え、「新しい味、世界に通用する酒づくりを目指す」と決意していた蔵元でもある田部代表。反響は高く、国内では早くも品切れで、次年度は増産する予定です。
100年後の未来を見据えながら、山を起点にさまざまな分野で革新を続ける田部グループ。地域に寄り添い、地域とともに歩んでいます。
株式会社 たなべの杜
「株式会社 たなべの杜」では、永年の山林、木材、造園外構事業で培ったノウハウを生かし、“木と生きる、木と暮らす”をテーマに、快適で健康的な住まいづくりを提案。営業部、建築部、設計部、環境緑化部、不動産部で構成され、土地探しから新築・リフォーム住宅の設計、造園設計、コーディネート、施工、管理まで、自社一貫で行っています。
入社2年目となるインテリアコーディネーターの福間心幸さん。「初めての経験が多く、覚えることもたくさんあり、1年目はあっという間でした」と話します。入社当初は経験も浅く、実践的なスキルもなかったため、先輩にフォローしてもらいながら進めることが多かったとのこと。
最近は、内装(クロス・照明・カーテン・家具)の提案からすべて任せてもらえるようになり、やりがいや面白みを感じている様子。また、ネットや資料には書かれていない先輩方の経験値から教わる知識や技術が勉強になり、吸収することが多いといいます。
「これからさまざまなことを経験する中で自分の得意分野を見つけ、自分磨きもしつつ、業務に役立つ資格取得に挑戦していきたいです」と将来の夢が膨らみます。
株式会社 TANABEグローバルキッチン
広島市に本部を置く「株式会社TANABEグローバルキッチン」。中国地方を中心に、ケンタッキー・フライドチキン(広島県、島根県、鳥取県、岡山県、山口県)、ピザハット(広島県、島根県、鳥取県、岡山県、大阪府、兵庫県、山口県)、マネケン(島根県)と、世界的ブランドの外食チェーンをフランチャイズ展開しています。
もともと接客業に興味があり、食べることが好きだったことから飲食店での就職を考えていたという勝部瑞貴さん。接客業と飲食業を探す中で、同社と出会いました。「TANABEグローバルキッチンでは、お客様に食を通じて幸せを届けることができると知り、ぜひ働きたいと思いました」と入社のきっかけを話してくれました。
勤務先の店舗は、学生・主婦のアルバイトを含め、スタッフ全員、仲が良いのが自慢。「店舗の仲間たちと、多くのお客様がケンタッキーにきてよかったなと思えるように、より良いものを目指して日々働いています」。
店舗を訪れた人を笑顔で幸せにできるよう、また、勝部さん自身も笑顔を忘れないよう、日々店頭に立っています。
株式会社 田部
田部グループの総務、人事、経営戦略および経営管理を行う「株式会社田部」は、松江本部と東京事業部で構成されています。東京事業部は、港区赤坂を拠点に高級お取り寄せグルメの通信販売、創作和菓子と茶房・こだわりの器の店「ヒガシヤ マンマルノウチ」の運営などを行っています。
松江本部で経営企画を担当する一ノ渡真行さんは、東京の大手建設会社に3年勤め、出身地の出雲にUターン。当時募集を出していなかった「田部」に自分から応募し、転職を叶えました。
「前職では、請負で建設事業が発生していましたが、田部グループは過疎が進む地方にあっても次々と事業を生み出し、走り続けている。事業を軌道に乗せるには困難なこともあると思いますが、私もひとつの力となって盛り立てていきたいです」と語ります。初仕事は、3年に一度の「田部グループ中期経営計画発表会」の進行メンバーとして、グループ各社の経営方針、目標などを吸い上げての資料づくり。吉田町、松江、掛合町、広島と、グループ各社の拠点にすべて足を運び、刺激を受けながら学んでいます。「新入りの私が意見を言っても否定されることはなく、大らかな社風です」。
株式会社 たなべたたらの里
田部グループの原点、雲南市吉田町を起点に、山林資源を活用した循環型コミュニティの再生をめざす「株式会社 たなべたたらの里」。バイオマスボイラーでの山林資源の有効活用などに取り組む「山林事業」、たなべ森の鶏舎、奥出雲前綿屋ままたまごを運営する「特産事業」、たたら製鉄総合プロジェクトを行う「たたら事業」、フォレストアドベンチャーを運営する「地域開発事業」などを展開しています。
山林部の今岡竜希さんは、島根県立農林大学校林業科の出身。同社に入社を決めたのは、スギやヒノキといった木材の素材生産だけでなく、サクラやクリなどの広葉樹を植え、一般の人も山に呼びこむ事業を行っているのが魅力に感じたとのこと。毎日班単位で車移動しながら、所有林の保全管理を行っています。
「職場の先輩方は良い人ばかり。危険が伴うような作業は無く、自分の意見も聞いてくれます。林業は何十年も先を見据えていく仕事ですが、木の苗の周りの草をきれいに下刈りできた時など、その場その場に達成感があります」。子どもの頃から、安来節や神楽、楽器演奏が好きだった今岡さん。夢は森の中の音楽ホール建設です。
株式会社 田部竹下酒造
2022年、雲南市掛合町に誕生した酒造会社「株式会社 田部竹下酒造」は、江戸時代に田部家から竹下家に譲った酒造り事業を、再び引き継ぐために創立されました。美しい自然と紡がれてきた歴史をベースに、田部家と竹下家が守り続けてきた“ものづくり”の魂。それを次世代へつなげ、日本全国、そして世界に届く日本酒を造るため入社したのが杜氏・濵崎良太さん。5人の蔵人とともに、新しい味の日本酒造りに挑戦中です。
2年後を目標に、新たなる酒造施設の建設計画も進んでいます。
福岡県生まれの濵崎さん。岡山の大学・大学院で微生物を研究し、そのまま日本酒造りの道へ。岡山、愛知の蔵で、経験を積んできました。
初年度は4種の異なる酵母を用いて試験醸造酒を発表し、いきなりの高評価を得ました。その経験をもとに製法をさらにブラッシュアップし、新たに「理八」ブランドとして再リリース。理八も県内外から反響が高く、出荷が間に合わないほど人気だそうですが、濵崎さんは頬をゆるめません。「目指すのはシンプルに旨い、また飲みたくなる酒。造り方、配合を試行錯誤しながら、蔵元が想う酒質に近づけたい」と抱負を語ります。
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採用直通 E-mail/tubokura@tanabeco.com
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企業概要
事業内容 | 林業、飲食業、建設業、製造販売業他 |
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創業 | 昭和21(1946)年11月25日 |
代表者 | 代表取締役 田部 長右衛門 |
社員数 | 2279名(男1156名 女1123名) |
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※掲載の情報は、記事公開時点の内容です。
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この記事を書いた人
タウン情報Lazuda アシスタントチーム
編集部にっかんくん
山陰のタウン情報誌「Lazuda」編集部に所属(?)。新しいコト、ウワサに目がないミーハー。当サイトのマスコットキャラクターも務める。