手づかみ食べをしない1才の女の子。4月から保育園なのにどうすれば《後編》【本当にあった育児相談Q&A】

レインディア藤原さん
レインディア藤原さん

【育児コラム後編】食事をしない1才の子ども。その原因と対策はどうする?

■藤原さんの育児学Vol.133■

みなさんこんにちは。レインディアの藤原です。

今回の育児コラムは、お悩み投稿フォームに寄せられた実際のお悩み相談例。1才の女の子の保護者さんから届いた内容で、手づかみ食べをまったくしないとのこと。4月の保育園入園を目前に控え、焦りや不安が募っているようでした。

前回のコラムで、お悩みに対する私からの回答をまとめました。今回は私の回答に対して、保護者さんからの追加情報と、さらに私からの回答になります。

★前回のコラムはこちらから↓
手づかみ食べをしない1才の女の子。4月から保育園なのにどうすれば…《前編》

前回の回答を受けた、保護者さんからのお返事

回答ありがとうございます。とても詳しく、目からウロコのことばかりでした。質問して本当に良かったです。

最近では朝昼は一緒に食べるようにして、やっと朝だけ食パンをタッチしてくれますが2回程度です。机の上に食パン1本だと、逆に警戒するのですかね?いっぱい置くと落とされても嫌なので。

いろいろな感触の物をさわってもらおうと、100均のスライムやお手玉を試したのですが、嫌がり、食事の時も思ったのですが、手が汚れるのが嫌なんですかね?でも、元々警戒心が強いタイプの子な気がします。手のひらをさわられることも苦手で、スキンシップをすると払い除けられます。でも手のひらや腕のマッサージはしてみようと思います。

砂場に行ってみたらとも言われたことはありますが、口に入れそうで、ボールプールでも嫌がるので、砂場はまだ難しいですよね?

水分も摂らないのですが、どうしたらいいですか?1回の食事で頑張って25mlぐらいしか飲みません。便秘になりやすく、今も便秘外来に通ってます。ご飯に満足している様子で、おやつはまだ定期としては始めていないのですが、お腹が空いたサインがあるのでしょうか?

昼間は授乳中に噛んできたら止めるようにしたら、あんまり噛まなくなりました。1回しか授乳はしていないですが、昼間はあんまり執着もないみたいです(ちょっと寂しい)。

夫が育児に無頓着です。私が月齢ごとにできることを調べたり、おもちゃなどを選定してるのですが、全然話し合えず、2人で育児をしているとは思えません。全然子どもと遊んでくれないですし。同居はしていないですが嫁姑問題もあり、夫は義母側なので、余計に最近ギスギスしています。

今はまだ子どもも変な空気感を理解出来ていないように想いますが、いつ頃から察知出来るようになりますか?

私自身、月経も復活し、メンタル面が不安定になりやすく、ストレスが溜まると不眠になります。子どもに対してもストレスで、小突くのもちょっと強い時があり、自己嫌悪に陥ります。元々真面目で完璧主義者の性格なので、育児には不向きなんだろうなと思っています。

詳細な子どもの特性に対するアドバイス

形が変わる物を使った遊びは1才10ヶ月ごろから。1才ならオススメは木製おもちゃ

詳細な追加情報をいただいたので、私もイメージがしやすいです。ありがとうございます。

すでに、いろいろな感触の物をさわってもらおうと、スライムやお手玉を試されていたのですね。もう少し細かくお伝えしますと、スライムや柔らかいお手玉など、《形が変わる物》に関しては、今の月齢では苦手なお子さんがけっこうおられます。

砂遊びや水を移し替えて遊ぶような水遊び、粘土遊びなど、形が変わる物へ興味が高まるのは、1才10ヶ月ぐらいのころ。

※砂遊び、または庭や公園などの外遊びは、日本という国で生きていくために、生活圏の菌類を身体に覚えさせるために有効な遊び。ですので、安全を見ながら挑戦させてあげるといいと思います。ボールプールはトランポリン遊びなどを楽しめるようになる2才半ごろでしょうか。

警戒心の強いお子さんの場合、1才ごろでは《形の変わらない》積み木などの木製おもちゃが◎

特に、中にビーズが入っているなど、さわって音の鳴る物がいいと思いますよ。月齢的に、ティッシュなどを出すブームから、穴に入れる事がしたい段階にも移ってくるハズ。ペットボトルにストローを入れるような遊びもオススメです。

「手を払う行動」は嫌がっているのではなく「手を動かす練習中」

また、スキンシップをすると払い除けられるのは、嫌がっているワケではない可能性があります。というのも、1才過ぎでは手を動かす時、まだ繊細な力加減ができないからです。

例えば「積み木の上にそっと積み木を積む」ような動作はできませんよね?同様にお人形をよしよしする事も難しいでしょうし、バイバイする時にも、両方の手が動いてしまう段階だと思います。

払い除ける行動、食べ物を落とす行動が、実は単にさわろうとする初期の反射動作の可能性も。多少嫌がられても、繰り返していけば、大人が筋肉を鍛えるように、感覚が育つと筋肉をコントロールして、力加減も生まれてくるでしょう。

手のひらや腕のマッサージをする時は、脳と手のひらの神経回路を辿るようなイメージで、場所を動かしていきましょう。

私が講演会場などで行うのは、人差し指と中指で小人を作って床を歩かせ、トコトコと徐々に赤ちゃんの手、腕、肩と上っていき首まで進め、また戻っていきます。

この様に、赤ちゃんが目で見た物(ママの手)が、自分の手の刺激、腕の刺激へと繋がっていくと、脳と手の協調が生まれてきます。

「水分を摂らない」対策は姿勢の改善から

水分をとらないのは、心配ですね。女の子の場合、座っていても骨格が柔らかく、胃や腸が圧迫されている可能性も。また、今の月齢ではガスが上手に出せない事から夜泣きが激しくなることがあり、それだけ内蔵の感覚が過敏に育ってきている可能性も考えられます。

このような段階とした場合、まず試していただきたいのが、25mlぐらい飲ませた後、一度赤ちゃんを身体が真っ直ぐになるように持ち上げてみてください。

飲んだもの・食べたものがスムーズに胃から腸へ流れるような体勢を作ってから、また飲み食いに挑戦させてみましょう。すぐに続けられなかった場合、数分あけてからもう一度与えてみてください。

カルピスなどを薄~く作って、少しおいしい味にしてみるのも手。我が家ではカルピス、子ども用の豆乳ドリンクを使って変化を出していました。

便秘気味ならフルーツを少しずつ食べてみても◎

便秘は大変ですね。これもまた女の子に多いイメージ。

バナナなどのフルーツ、おやつとして始めていいかもしれません。もちろん、アレルギーなどがあるので、少しずつ様子を見てくださいね。私も娘がひとりいますが、小さい時から間食が好きで、小学3年生になる今でもおやつが手放せません。

女の子の情緒安定には、おやつも必要かと感じますが、ジュースやお菓子などの糖分による肥満は、後で中々痩せなくなるので量は少なめに。食事をたくさん食べてのぽっちゃりは、後の肥満とは関係ないことが分かってますので、多少食べ過ぎじゃないかと感じるぐらいでも大丈夫。

お腹が空いたサイン、そうですね・・・。今の月齢で機嫌が悪くなる要因は、「眠たい」か「お腹が空いた」か、「ママの視線が感じられなくて命の危険がある」かぐらい。眠たいワケでなくて機嫌が悪かったら、何か食べるか、飲ませるかさせてみてもいいかと思いますよ。

授乳は、ママが赤ちゃんと繋がっている事を実感する大事な時間ですから、回数が減ると寂しいですね。でも、成長している証。次のステップも楽しいですよ!

夫の育児参加の第一歩はホルモンの特性を理解することから

夫が育児に無頓着・・・これは寂しいですね。最近は以前に比べれば、育児に取り組む男性が増えてきていますが、まだまだ少ないと感じます。これは、性格や価値観の問題ではなく、ホルモンが影響していると私は考えています。

過去のコラムで何度か書いていますが、男性ホルモンは過去を見たり、考えたりする特徴があります。自分の過去の武勇伝を語ったり、相手の過去を探ったり。
一方の女性ホルモンは、未来を考える働きが強く現れます。

相談者さんも今、お子さんの将来の事、夫婦の将来の事をかなり先まで考えておられるのではないでしょうか?

赤ちゃんには過去がありませんから、男性は赤ちゃんを分析する事ができず、どう対応したらいいのか分からない、不安だから何もしないという行動になります。女性は、未来の成長を想像できなければ、今の苦労を耐えられませんから、将来報われることを想像して今を頑張れるワケですね。

【関連コラム】パパの育児参加で大切な「会話力」。一緒にトレーニングしてみませんか?

これらの事から、子どもが2年3年と成長してきて、過去がデータとして蓄積され、行動分析できるようになると、男性は育児に関わるようになります。小学生ごろ、急にパパが育児参加し始めて、「いいところを取っていく。今まで何もしてないのに親ヅラするのがイヤ」というママたちの声も届きます。

これらの男性ホルモンの特性を考えると、まずは日々急速に成長している赤ちゃんの状態を、夫に伝える事が大切。

一方通行かもしれませんし、興味を示さないかもしれません。けれど、夫をコントロールした方が後々楽ですので、お喋りできない赤ちゃんが二人になったと思って、お子さんの日々の変化を夫に植え込んでいきましょう。するとある日、「俺、娘の事が分かる」と気付く日がきたら行動が変わると思いますよ。

ちなみに、3才過ぎたころには、女の子はパパとママとで態度を変える事が始まります。このころまでに、パパが育児に参加していないと、家庭にパパの居場所はなくなるよと、小突いておきましょう(笑)。

嫁姑問題、これも大変。夫が実母側につくのは許せませんね・・・。夫には、家庭の情報を姑に話さないようにお願いしておきましょう。
年をとると、頭で思った事をすぐ口にするようになりますので、そもそも情報を出さないことが大切ですね。

お子さんが夫婦関係の変な空気を理解するのは、おそらく2才過ぎてから。2才に入ると、喜怒哀楽の繊細な感情が芽生えてきますし、社会性が出てきて複数人の存在を理解するように。

逆に2才までは、ママと私、先生と私、といった一対一の人間関係しか理解できません。なので、魔の2歳児と呼ばれる第一反抗期の期間をどう過ごすのかがとっても大事なんですよ。

ママ自身のメンタル面への向き合い方

ご自身の月経が復活し、メンタル面が不安定になることがあるとの事。これも以前コラムで書いたのですが、日本のシングルマザーに統計を取ると、何と37.4%が子どもが2才になるまでに離婚しているデータが発表されました。

2才直前にみんなが急に離婚の印鑑を押すワケではないので、火種はおそらく赤ちゃんが1才を迎えるころからあるのだろうと考えています。一方、子どもが2才以降になってからの離婚は10%程度に下降。

この事から、お母さんが女性ホルモンによる身体の変化、育児のストレス過多により、夫婦関係の破綻に繋がっている事が推測できます。裏を返せば、1才前後に夫や社会がママのサポートをちゃんとすれば、離婚にはならないのだと思います。

お母さんの今のストレス・辛さは、多くの母親たちが感じていて、中には自信をなくして命を絶つ判断に追い込まれる人もいるぐらい、人生で一番辛い時と言っても過言ではありません。

たくさんの不安に押しつぶされそうになると思います。夫や他の家族へ届かぬSOSが、いつしか恨みに変わるかもしれません。けれど、あと1ヶ月もすれば子どもは確実に次の成長ステップに移っています。母体も内側から変わっていくので、育児への心の余裕も生まれてくるはずですよ。

【関連コラム】少子化と離婚率の関係性。「生後8ヶ月の壁」を乗り越えるには

子どもに対して怒りをぶつけ自己嫌悪。それに対する対応は?

長くなりましたが最後に「子どもに対してもストレス、小突くのもちょっと強くしてしまって自己嫌悪に陥る」との事。

心配しないでください。みんな見えないところで叩いたり、大声で怒鳴ったりしていますよ。赤ちゃんは3才半ごろに「幼児期健忘」という記憶をリセットする段階があります。ママのストレスを受け止める力も、赤ちゃんには備わっているワケです。

完璧主義者な性格との事、確かに育児は手抜きの心や諦めも肝心かもしれません。しかし、お子さんもママの遺伝で、完璧主義な一面を持っていると思います。
お子さんの事を理解できるのは、ママが世界中で一番な存在ではないでしょうか。いただいたメールの内容を見る限り、素晴らしいママだと感じますよ。

日本という社会は、親になる人々に子どもの発達を何も知らせません。お母さんのストレス、悩みは、何も知らされないまま、命を育てないといけない社会環境が原因。決して、ママが悪かったり、赤ちゃんに問題があったりするワケではありません。

今するべき事は、自身のホルモン変化に負けない事、赤ちゃんとの貴重な時間を楽しむ事ですよ。

この後にもこのお母さんとのやり取りは続いているのですが、私のアドバイスは基本的に現状の詳細な分析と、解説にあります。

日本人は「察する」能力が高いと言われますが、それゆえに勘違いも多いように感じます。

特に、赤ちゃんや子どもは、自分自身でも本当の気持ち・感情を理解できていませんから、笑っていても危険であったり、嫌がっていても必要であったりする事がありますよね。

私のしている事は、分かりやすく言えば“赤ちゃんの代弁者”となること。赤ちゃんの気持ちが分からなくなったら、お気軽に下記お悩み投稿フォームをご活用ください。

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この記事を書いた人
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Reindeer 代表取締役社長

レインディア藤原さん

北欧インテリアショップ『reindeer』、木のおもちゃのレンタルプログラム「もくレン」などを運営。中海テレビ「県議熱中討論」コーディネーター、よなご宇沢会幹事も務める。幼稚園や保育園、市町村の子育て支援センターなどで育児講演を行う。乳幼児の育児相談から不登校問題もお気軽にどうぞ! いつも作りかけのお店はまさに秘密基地、まずは自分でするのが藤原流であり、北欧から学んだこと。お喋り大好きな二児の父です。

最近では、米子市岡成で子育て支援プロジェクト『コーセリ』の代表理事を務めています。私は子どもが生まれる前の妊娠期から、子育てや子どもの発達について学びながら準備をしていくことが、子育ての不安を減らすうえで大切と考えています。そのような視点から、子育て世代の親を対象としたセミナーを企画・開催しています。また、子どもと一緒に参加できる体験教室やイベントなども行っています。

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