27枚だけのやさしい時間。「映ルンです」で切り取る、大田市大森町の町並み【山陰フォト散歩】

DAIKI TAKEUCHI
DAIKI TAKEUCHI

スマホを手放して旅に出よう!

便利なものに毎日囲まれて過ごしていると、行きたい場所も、撮りたい景色も、気づけばスマホが教えてくれるようになりました。

「人気スポットはココ!」

「この角度が映える!」

「このお店は今話題!」

確かに助かるし、ラクだし、間違いない情報ばかり。でも、ふと立ち止まって考えると「あれ?これって本当に自分が選んだ景色だったかな?」と思うこと、ありませんか?

「映えるから」撮った場所。「バズってたから」行ったお店。でもそれって、自分の心が動いた瞬間だったのかな?って。

だから今回の旅では、思いきってスマホをポケットにしまって、代わりに「映ルンですTM」を片手に、町を歩いてみました。

どこを撮ろうかな。どんな角度が好きかな。そんな風に、自分の感じたままでシャッターを切っていく旅は、ちょっと懐かしくて、でもすごく心地良くて。

一つひとつの景色を、自分の目と心で選んでいく。それだけで、旅の時間がグッと深くなった気がしました。

今回の舞台は大田市大森町!

こんにちは、タケcampです!

今回は、あえてスマートフォンをポケットにしまって、手にはインスタントカメラ「映ルンですTM」を持ち、そばには愛犬「福」を連れて、島根県大田市の大森町を歩いてきました。

撮れる枚数は27枚!!

確認することも、編集することもできない・・・。

でも、その不自由さが旅に「深さ」をくれる。そんな体験記をお届けします!

大森ってどんな町? 〜歴史と町並みの魅力〜

島根県大田市の「大森町」。世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として知られる、歴史の息づく町です。

かつて、銀山の行政と経済の中心だったことから、江戸時代そのままの町割りが今も残っています。代官所や町屋、武家屋敷など、時代を越えて受け継がれてきた建物が、今も人々の暮らしの中で使われているのです。

朝になると、鳥のさえずりが町に響き、観光地でありながら人通りは少なめ。その分、町全体がゆったりと呼吸しているような、落ち着いた時間が流れています。

暮らしている人たちの丁寧な営みが、この町のリズムをつくっている。そんな、静かでやさしい場所です。

「映ルンです」とは何か。アナログ写真の魔力

「映ルンですTM」。

どこか懐かしい響きのこのカメラは、1986年に富士フイルムから発売されました。誰でも簡単に写真が撮れる“レンズ付きフィルム”として、当時の修学旅行や家族旅行には欠かせない存在だった、という人も多いのではないでしょうか。

撮れる枚数は、27枚か39枚。

フラッシュが内蔵されていて、ピントは固定式。シャッターを切るたび、「カチカチ」とダイヤルを巻き上げるのも、なんとも言えないアナログな味わいです。

そして、なんといっても魅力なのは、その場で写真が見られないこと!

すぐに確認できない不便さが、かえって「どんなふうに写っているんだろう?」という楽しみに変わるんです!

今の時代は、なんでもすぐに結果が分かるからこそ、少しだけ待つ時間が、旅の余韻を豊かにしてくれる気がします。

ちょっと手間がかかって、でもその分、じんわり心に残る。「映ルンですTM」は、そんな旅のおともにピッタリなカメラです。

旅の相棒・福とともに、愛犬と巡る大森の町

今回の旅も、相棒はいつものように愛犬・福!カメラとリードを片手に、朝の大森の町をゆっくり歩き始めます。

まだ人通りが少なく、車の音も聞こえない。しんとした通りには、鳥の声だけが響いていました。

大森は、犬連れの旅にも本当にやさしい町。車が少なくて歩きやすいし、ところどころに軒先の影があって、夏の朝でも安心して散歩できます。

町の人たちも温かくて、「かわいいね」と福に声をかけてくれることもしばしば。そんなちょっとしたふれ合いも、旅を豊かにしてくれる時間です。

福がピタッと立ち止まったその時こそ、実は最高のシャッターチャンス。

(「映ルンですTM」はシャッタースピードがやや遅めなので、ブレ防止のためにも被写体が止まってくれるのはありがたい!)

旅のテンポは、福の鼻と足におまかせ。においをたどり、気になるものがあれば足を止める。そんな寄り道が、今回の大森旅の一枚一枚をつくってくれました。

「シャッターを押す」ことの意味

スマホやデジタルカメラなら、シャッターを連写して、後からいい感じの1枚を選べば済む。私も普段はつい何十枚もバシャバシャ撮ってしまうタイプです!

でも、「映ルンですTM」は違います。シャッターはたった27回。

だからこそ、一枚一枚がとても貴重で、丁寧に向き合うことになります。

足を止めて、構図を考える。光の向きを確認して、影が落ちるのを待つ。そして、福がふと立ち止まったタイミングを見逃さずにようやく、そっとシャッターを押す!

「撮る」というより、「この瞬間を、写させてもらった」。そんな感覚に近いかもしれません。

一見、不便に思えるこの手間が、アナログ写真の奥深さであり、旅の時間そのものを豊かにしてくれるのかも。

スマホでは見えない風景

スマホを見ながら歩いていると、つい目の前の景色を見逃してしまうこと、ありますよね。便利で情報も早いけれど、その分、旅の空気みたいなものがどこか薄れてしまう気がします。

でも「映ルンですTM」を持って歩くと、不思議と顔が上がるんです。

「どこを撮ろうかな?」と考えながら、いつもよりもじっと風景を見つめるようになる。光の向き、影の形、人の気配、普段なら通り過ぎてしまうようなものにも、ちゃんと目が向く。そうして静かに過ごしていると、いろんな音やにおいに気づくようになってきます。

例えば、軒下で揺れる風鈴の音。木の間をすり抜けてくる、さらさらとした風。庭先で、誰かが丹精込めて手入れした花のにおい。

「これも旅の風景だったんだなあ」と、心がゆるむ瞬間です。カメラを持っていなければ、きっと気づけなかったであろう、小さな出合いの数々。そんな発見が、「映ルンですTM」の旅にはたくさん詰まっていました。

撮ってからが本当の楽しみ。現像までの時間

撮り終えた27枚のフィルムを、そっと現像に出す。その瞬間から、少しだけ旅の続きを待つ時間が始まります。

最近では、最速で1時間ほどで仕上がることもあるけれど、この「待ち時間」が実は一番ワクワクする時間かもしれません。

「ちゃんと撮れてるかな?」

「福、あの時目をつぶってなかったっけ?」

「朝の路地裏で撮った、あの光の感じ・・・うまく写ってるといいな」

そんな風に、旅のあれこれをひとつずつ思い出しながら過ごす時間は、まるでもう一度旅をなぞっているよう。スマホの写真のようにすぐには見られないけれど、だからこそ、現像が上がったときの喜びはひとしお。

焼きつけられているのは、ただの風景じゃなく、そのときの空気や、気持ちや、福の足音。

「記録」じゃなく「記憶」を閉じ込めてくれるのが、フィルム写真のやさしさだと、改めて感じました。

はじめての「映ルンです」でも大丈夫!インスタントカメラでうまく撮るコツ!

「フィルムカメラって難しそう…」

「ブレたり、暗くなったらどうしよう?」

そんな不安、分かります。でも、ちょっとしたコツを押さえておけば、「映ルンですTM」はむしろ初心者にやさしいカメラ。

旅のおともにピッタリです!

ここでは、実際に大森を歩きながら感じた「うまく撮るためのポイント」をご紹介します。

  1. 光のある場所で撮る(できれば日中)

    「映ルンですTM」はISO400のフィルムを使っています。これは暗すぎる場所では少し厳しいことも。曇りの日や屋内では、フラッシュを使うのが安心。基本は屋外・日中の撮影がベストです。

    オススメの時間帯:朝9時〜午後4時ごろ。大森のやさしい光をフィルムに焼き付けよう。
     
  2. 被写体との距離は1〜3mが◎

    ピントが固定式のため、被写体との距離が近すぎたり、遠すぎたりすると、ボケやすくなります。福のベストショットも、いつも2〜3m離れて撮るように意識しています!
     
  3. ブレを防ぐために「しっかり構えて」からシャッターを切る

    片手撮影や動きながらの撮影は、ブレの原因に。シャッターを押すときは両手でしっかりカメラを固定し、構図を決めてからゆっくり撮りましょう。

    ポイント:歩きながらではなく、立ち止まって「撮る」時間を楽しむことが大切。
     
  4. フレームの「中心」を意識して

    ズームもAFもありません。だからこそ、構図の工夫が写真の味になるんです。撮りたい被写体を「真ん中」に置くだけで、ぐっと見やすい写真になります。
     
  5. 撮影前に「カチカチ」と巻き上げを忘れずに!

    意外と忘れがちなのが、フィルムの巻き上げ作業。シャッターを押す前に、右側のダイヤルを「カチッ」と止まるまで回すのが基本動作です。旅の途中で「撮れてなかった!」とならないよう注意しましょう。
     
  6. 撮り終えたら、冷暗所で保管&早めに現像を!

    フィルムは熱や湿気に弱いため、撮影後は直射日光を避け、なるべく涼しい場所に保管を。そのまま放っておくと色あせる場合もあるので、なるべく1週間以内に現像へ出すのがオススメです。

やってしまった失敗!撮影時の注意点

実は今回、ちょっとした「失敗」もありました・・・。

撮った写真の中に、思ったより構図がずれていたり、被写体の端っこが切れたりしたカットがあったんです。

原因は、「ファインダー(のぞき穴)で見えている範囲」と「実際に写る範囲」が完全には一致しないというアナログカメラならではの特徴。

特に被写体をギリギリまで寄せた構図や、左右いっぱいに何かを入れようとすると、写らない部分が出てくることがあります。これは「パララックス(視差)」と呼ばれる現象。「映ルンですTM」のようなシンプルなカメラではよくあることなんです。

みなさんはそうならないように、要注意!

旅は「思い出」じゃなく「写心」

現像から戻ってきた「映ルンですTM」の写真を、ワクワクしながらめくっていく。

写っていたのは、ただの風景じゃなくて、「その時の気持ち」そのものだったように思います。

大森の町に流れていた、静かでやさしい時間。木造の建物が持つ、あったかい雰囲気。福と歩いた、のんびりしたリズム。町の人がくれた、自然な笑顔。

どれも、スマホの連写ではきっと撮れなかった、じんわり残る1枚でした。

写真って「心を写す」って書いて「写心(しゃしん)」って読む。今回の旅は、その言葉がぴったりだった気がします。

ちょっと不便だけど、そこがいい。シャッターを押すたびに「旅してるなぁ」って感じられるのが、フィルムカメラの魅力。

この夏、良かったらみなさんもインスタントカメラを持って、「写心」を探す旅に出かけてみてください!

石見銀山大森観光案内所(石見銀山公園前)

イワミギンザンオオモリカンコウアンナイジョ(イワミギンザンコウエンマエ)
電 話:0854-88-9950
住 所:島根県大田市大森町イ824-3 [MAP]
営業:8:30~17:00

休 み:無休(年末年始は休業)
情 報:HP

※掲載の情報は、記事公開時点の内容です。
状況の変化、情報の変更などの場合がございますので、最新の情報は店舗・施設のHPやSNSを確認するか、直接お問い合わせください。

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この記事を書いた人
DAIKI TAKEUCHI

ラズダlocalライター

DAIKI TAKEUCHI

旅とキャンプと犬を愛する舞台俳優。石見地域を中心に文化事業を行う「IWAMI ARTS PROJECT」代表。総フォロワー10万人の動画クリエイター「タケcamp」としても活動中。

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